11月に映画が公開。

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紙の月 (ハルキ文庫 か 8-2)

借金の恐ろしさを感じる本。

銀行の金を横領した主人公、梅澤梨花。
梨花本人の視点からその経緯を描き、彼女の友だち、かつての恋人の視点から彼女の過去を描いています。
ただ経緯を書くだけだと見えてこない一人の女性の姿が、過去も併せて書くことではっきりとしてきます。
たぶん、彼女は普通の主婦で、それなりに悩みも抱えていて、寂しくて、たまたまお金が手近なところにあっただけ、そんな印象を持ちました。
横領は犯罪なのでたまたまと言うのは不謹慎なのですが、少なくとも返すつもりはあったので、そこまでの悪意を感じませんでした。
きっと、借金ってそういうところが怖いところなのでしょう。
最初はきちんと返すつもりで借りる、それが深みにはまって返せなくなる、返せなくなったお金がどんどんと膨らんでいってやがてどうにもできなくなる。

お金をあげれば、愛する人をつなぎとめていられるのか。
借金の恐ろしさを感じるとともに、この本はそういうことを訴えているように思います。
妻に対して、年下の恋人に対して、子どもに対して、お金を渡している人は多くいます。
一方で、あげるお金を少なくすれば、良好な関係を保てるのか。
どうして節約しようとするのか。
梨花の過去についてを書きながらも、複数の家庭におけるお金についての考え方が同時に提示されていきます。
適度に使って、適度に貯金する。
それが一番の理想なのでしょう。
ケチケチしすぎても無理が来るし、限度を超えて使い過ぎても身を滅ぼします。
けれど、その適正なところというのはきっと個人差がある。
価値観の違いで、一番やっかいなのはお金のことなのかもしれません。
価値観が違えば、息苦しくて、逃げ出したくもなる。
せっかく心安らぐパートナーといっしょにいるのに、そういう風になってしまうなら悲しい。
読んでいてそんなことを思いました。

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