テンポよく読める本。

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世界から猫が消えたなら (小学館文庫)

感動的な家族小説。

余命わずかと宣告された主人公が悪魔と取引をして、1日だけの命を得る。
その取引の内容が、世界から何かを消すこと。
物語の中では、電話が消え、映画が消え、時計が消えていきます。
どれも当たり前に私たちの身近にあるもので、その物が消えた時、その消えた物の良さや便利さを知ります。
けれど、消えてしまったものは時代がさかのぼればもともとはなかったもので、なければないなりに主人公はうまく過ごせてしまって、その物がないことで気づかされる良いことが綴られています。

主人公と同居している猫、キャベツ。
キャベツのことを語りながら、物語は過去へとさかのぼります。
キャベツのことをかわいがっていた、主人公のお母さん。
あたたかいまなざしを注ぐお母さんはすでに亡く、その病床でだんだんとすれ違っていく主人公と父親との関係が痛々しく感じます。
主人公と父親はお母さんが亡くなってから会うこともなく、余命宣告を受けたことを主人公は言えずにいます。
言えなくても、家族であることには間違いない。
主人公はどうするのか。
ありがち、と言ってしまえばそれまでですが、だからこそ安心して向かう結末まで読み進めていけます。

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