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華氏451度〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

1950年代に書かれた未来像

本を所持することが禁止された未来。
本を燃やすことを仕事とする昇火士(ファイアマン)が主人公です。
彼の妻は、いつも耳に≪巻貝≫を付けて、音楽やラジオを聞きながら過ごし、その結果、読唇術まで身につけてしまいます。
自宅の壁に映される≪家族≫を大事にして、楽しく過ごしています。
ある夜主人公は一人の少女に出会い、こう聞かれます。
あなたは幸福なの?
もちろん幸福さ、と思う一方で、幸福じゃない、と思う自分もいます。
そして、彼の日常はめまぐるしく変化していくことになります。

現在、本の所持が禁止されるような未来にはならなかったけど、これと似たような未来になっているのかもしれません。
本の中の人々は、目の前で起こっていることに何の疑問も抱かず、自分の快楽だけを優先し、いろいろなことを見落としている人たちです。
壁に映る≪家族≫との会話に夢中になっている主人公の妻は、誰かといっしょにいるのに携帯電話でSNSばかりを気にしている人に似ています。
インターネットを使えば、様々なことが調べられるようになりました。
画像を見てそれで見たようなつもりになっていること、そこに書かれている情報を鵜呑みにしてその真偽を疑わないこと、そういうことに対しての警鐘のように感じました。

自分たちが見えていないものはきっとたくさんあって、その中にもしかしたらとびきり大切な何かがあるのかもしれません。

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