日本の支配者は官僚か?政党か?総理大臣か?

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日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)

第1章 官僚内閣制

ダイナミックな判断ができないのは議院内閣制のせいか?
→大統領制の導入?
 しかし、大統領と議会は独立した根拠をもつ二元制であり、議会の上に成り立つ議院内閣制のほうが権力集中である

・内閣制度100年と日本国憲法の制定
議院内閣制と内閣制の違い
→「議会」に立脚した内閣であり、日本の場合総理大臣はじめ国務大臣の過半数以上を議員とする
 議会の信任 責任本質説 均衡本質説

第2章 省庁代表制

1日本型多元主義と官僚制
2日本官僚制の特質
3積み上げ式の意思決定
・稟議制と合議(あいぎ)
 稟議制 稟議書の回覧による意思決定
 合議 所轄部局の担当者が政策の原案をもって各部局を訪ね同意を得る
部局間の調整の積み重ねにより合意形成をするのが日本官僚制の特徴
大臣への御説明

・政策の立案と決定の近接(特に誰かがばしっと決めるわけではない)
従来からの方針転換が難しい反面、実施に責任を持つ部局が重要な発言権を確保できる

4政策の総合調整
・予算交渉
予算編成過程 対面交渉
 翌年度予算の目玉(「一丁目一番地」と呼ばれている)を探す
 →各課と総務課が対面交渉
 →各局の総務課と大臣官房の会計課
 →通常8月末の概算要求締め切りまでに省庁内部の調整終了
 →9月以降は各省庁と財務省の対面交渉
歳出抑制のため70年代以降各省庁ごとの概算要求枠が設定されている

・内閣官房、内閣府による総合調整が80年代以降強化された
中曽根による内政審議室、外政審議室設置
橋本行革→官房副長官補
→下降型意思決定としての側面はいずれも弱い

・中央政府と地方自治体の関係
中央で決めたことを実施を地方自治体が行う機関委任事務制度(地方分権一括法で廃止されたが、地方自治体は国の機関とみなされる)
→中央集権的でありながら、地方が幅広い事務を行う
 現場感覚のない中央官僚への批判(個別陳情による解決→族議員の隆盛へ)

日本は小さい政府にみえる
→外延団体や、民間に公の仕事をさせていることが多い

第3章 政府・与党二元体制

与党とは政権党とイコールではないが政権と深く関係している党
政府と与党のずれ
 党首討論では総裁ではなく幹事長が出席することもあり、政府に属する者は与党の代表ではない場合もある
 政府と与党内の意見衝突

与党の政策審議機構
政務調査会と総務会=自民党の意思決定機関
審議過程 担当する官僚が与党の政調の担当部会に出席(イギリスでは官僚の担当大臣等以外の議員との接触は禁じられるため、一般的ではない)
自民党の意思決定は全会一致が原則だが、異論が強いときは一任方式をとる

族議員の隆盛
族議員とは・・・定義はないが、特定の分野の官僚の利益の代弁者というような意味で使われることが多い
戦後、国士型官僚から調整型官僚へ、但し政治家が優位で官僚が劣位であるという捉え方では把握できない

政高官低時代に自民党の人事と派閥が大幅に制度化された
個人の作る派閥ではなくなる
総主流派人事ですべての派閥から入閣
派閥間調整と団結

これらは自民党の長期政権のもたらした独自の与党機能の発達といえる

第4章~→その2へ続く

感想

戦後の政治における政党(特に与党たる自民党)の役割や官僚の役割などが大枠で理解できる。ただし、近年の変化については、本書の出版年をみても、更に検討が必要なことがわかるだろう。

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