絵画をめぐる人間模様が見所です。

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楽園のカンヴァス (新潮文庫)

絵画に隠された過去を巡る物語。

ルソーの『夢』という絵画。
それによく似た『夢をみた』という絵画を個人コレクターが所蔵している。
その真贋を確かめるために呼ばれた二人の専門家、早川織絵とティム・ブラウン。
絵の真贋を見極めるために呼ばれたのに、二人は物語を読まされます。
ルソーと絵の中に描かれた女性ヤドヴィガの物語。
その物語のことを話ながら親しくなっていく織絵とティム。
絵画の謎に迫り、その絵画を取り巻く人々の思惑を明らかにしていく様子はまさしくミステリー小説なのですが、この本はきっと恋愛小説だと思います。

パソコンで話の中に出て来た絵画を検索して確認しながら読むとより楽しめると思います。
きっと絵の細部まで見たくなるので、携帯の小さな画面ではもったいない。
絵画の謎解きをしている専門家の二人は、ルソーの経歴や当時の美術業界の動き、同時代の作家についての知識は豊富でそうした絵の裏側にある時代背景を会話文の中に、あるいはティムの考えとしてしっかり書いてくれているので読み応えがあります。

表紙にあるルソーの絵。
ぱっと見てどこか違和感のある絵だというのは私にもわかります。
だけど、下手なだけの絵ではないこともわかります。
物語に書かれているのは、情熱だと思います。
お金がなかろうが絵に全力を注ぐ情熱、絵を守るためその絵の魅力を伝えるために必死になる様。
美術館は情熱が詰まっている場所なんだなと思います。
美しいものを見れる喜び、美しいと思える心、そして作品に触発される楽しさ、そういうことをもっとたくさんの人に知ってもらえたらいいのになと思います。

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