デキる医師はどのように『診断』しているのか?

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誰も教えてくれなかった診断学―患者の言葉から診断仮説をどう作るか

注意:本書は医師・医療関係者向けに書かれた書籍ですので、医学用語・検査値などが多数出てきます。

著者の野口善令先生は米国内科専門医の資格を持つ内科診療のエキスパート、福原俊一先生は米国内科学会認定専門医であり本書の発起人です。

誰も教えてくれなかった診断学

患者の言葉から診断仮説をどう作るか?

まず患者の言葉をそのまま鵜呑みにするのではなく、問診・身体所見・患者背景などから医学情報化し、『生きた情報』に変換することが診断の第一歩です。

そして『生きた情報』をもとに、考えられる可能性の高い&重大性の高い疾患に絞り込んでこそ、必要な検査・適切な治療を行うことができます。

カードを作る

カードとは、患者の問診・身体所見から考えられる疾患リストの事です。理想としては3〜5、多くとも7つまでに絞り込む事が、適切な診断を行う為には必要です。

頻度と重大性(緊急性・アウトカム)に注目し、可能性の高い疾患の80〜90%をカバーでき、重大性の高い疾患を見逃さないようなカードが理想です。

さらにポイントとしては、自然寛解するような疾患・治療法のない疾患については、カードの上位に持ってこないようにしましょう。より重要な疾患を見逃し、放置してしまう危険があります。

カードから診断へ

まず患者が疾患を持つ可能性を吟味し、事前確率を見積る。判別がつかない場合は50%とし、少なくとも可能性を『大・中・小』の三段階に分け、事前確率を曖昧にしないようにしましょう。

次に事前確率をもとに、可能性のある疾患を確定診断・除外診断に、大きく近づけるような検査を行う事が大切です。的の絞れていない余計な検査は、患者の負担になるだけでなく、自分の思考を鈍らせてしまいます。

そして疾患の可能性と治療法の利益・不利益の兼ね合いから、治療行うか行わないかを決定します。例えば、手術など患者に負担がかかり、緊急性のない治療の場合は、慎重に決定する必要があります。
一方、副作用が少ない医薬品・簡単な治療で、重大性の高い疾患に対処できる場合などは、積極的に治療を行っていく姿勢が必要になります。

ただし一つの疾患が確定しても患者が他の疾患があることの否定にはならないケースつまり併発も考慮に入れなければなりません。

感想

私は自己治療の診断のメソッドを学ぶために手に取りましたが、とても分かりやすく論理的な内容で、スラスラと読めてしまいました。
医師がどのように考え、頻度の高い疾患に焦点を絞りつつも重大性の高い疾患を見逃さないように・・・つまり患者の健康をどのように守っているか、体系的に理解する事ができる良書です。
そして名医・専門医にかかる一番大きなメリットについて・・・今までの経験をもとに、文献だけでは分からない病気を見抜く力が、養われている点です。
どこまで学んだとしても、経験が伴わなければ本物の『診断力』は身につかない。そんな事を感じさせてくれる一冊でした。
少しでも内容を紹介できたことを喜ばしく思います。ありがとうございました。

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