ただただ、圧巻のラスト

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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫)

―まだ誰もそのことに気が付いていないだけで、本当の自分には特別な才能があり、誰よりも優れているのだ―と思ったことのある人はいないだろうか。本書は、その思いが大人になるにつれ増幅し、自他ともに手に負えなくなった姉・澄伽と、その生き様を興味深く観察し、その姿をホラー漫画として描く妹・清深の物語である。自分を描き続ける清深に向けられた澄伽の仕打ちや、姉の人生をある種のエンターテインメントとして漫画の題材にする清深の様子は非情ともいえるかもしれない。しかし、評価されていく清深の漫画や、物語の最終部、特にラスト一行から、過度な自尊心は必ずしも否定されるべきものではなく、強大なエネルギーを放つものなのだということを感じさせる。たった一人でいいから、私を絶対的な存在として受け入れてほしい、認めてほしい、という強い願いが断ち切られた瞬間の絶望の描き方は圧巻させられるばかりである。
また本書は、二〇〇七年に吉田大八により映画化されている。

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