神様のボート

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神様のボート (新潮文庫)

不倫した男性との間の子供を産み、桃井先生との離婚時の約束、「東京から出て行って欲しい」を守って、実家のある東京を離れ、関東近辺を転々とする葉子。彼女は別れた「あのひと」を愛し、「あのひと」に似た娘の草子を愛している。
2人はいつか必ず迎えに行くという「あのひと」との約束を信じて放浪している。「神様のボート」に乗った旅がらす。
娘の草子は思春期に入り、そんな自分たちの生活に疑問を持ち始める。そして安定した自分の居場所を求めるようになる。
現実に安定して馴染んでしまうことにより「あのひと」との時間が風化され、希薄化するのを恐れる葉子と今の現実に生きることを願う草子。やがて母娘は分岐点を迎えることとなる。
草子が家を出ていき、葉子は16年ぶりに実家のある東京に帰っていく。
愛する人との思い出にすがって生きてきた葉子が娘を失い、妥協して、最後に見た景色とは。
神様のボートの終着点は蜃気楼の町なのか、長い間求め続けていた風景の中なのか。

感想

狂っていて、寂しくて、どうしようもない物語です。けれど、泣きたくなるくらい葉子の気持ちはわかるし、ずっとずっと神様のボートに乗り続けていられたら良いのにと思います。ラストをどう捉えるのかは読者次第です。個人的には葉子に肩入れして読んでしまいますが、成長していく草子側から読んでも切なくて、悲しくて、良い物語です。

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