世界の行方と、日本人とは。

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文明の生態史観 (中公文庫)

世界と日本

世界の統一について

  • 世界は多様だと思う。しかし、無秩序ではないだろう。日々のできごとは、しばしば意外であり、混乱であるようにみえるが、よくみると、人類の文明は、いくつかの法則的な変化を、現にあらわしつつあるのではないかとおもわれる。
  • 世界の統一へのうごきはあるけれど、世界はまだ現実には統一されていない。われわれ自身、その分割された一片の土地に所属している。私たちはその土地からのがれることはできないけれど、その土地をのりこえて、全地球的な課題についてかんがえることはできるはずだ。われわれ自身の問題も、そのような全地球的な歴史のながれの中においてながめてみて、はじめてそのひずみのない姿をみることができるだろう。

日本人とは

  • 日本人にも自尊心はあるけれど、その反面、ある種の文化的劣等感がつねにつきまとっている。それは、現に保有している文化水準の客観的な評価とは無関係に、なんとなく国民全体の心理を支配している、一種のかげのようなものだ。ほんとうの文化は、どこかほかのところでつくられるものであって、自分のところのは、なんとなくおとっているという意識である。 おそらくこれは、はじめから自分自身を中心としてひとつの文明を展開できた民族と、その一大文明の辺境諸民族のひとつとしてスタートした民族とのちがいであろうとおもう。

今後の世界の予想

第一地域と第二地域

  • 世界を東洋と西洋とに類別するということが、そもそもナンセンスだとする。そして、旧世界をばっさり二つの地域に分けた。
  • 第一地域は、日本と西ヨーロッパ諸国。封建体制のあと革命によってブルジョワが実質的な支配権を得、高度資本主義の体制を確立している地域である。
  • 第二地域は、中国世界、インド世界、イスラム世界、ロシア世界。資本主義的発展が未成熟で、専制君主制か植民地であったか、革命の後も独裁体制にある地域である。

現代は第二地域の勃興期

  • 現代は、ひとくちにいえば、第二地域の勃興期だ。おそらくまだ革命の波はつづくだろう。そして、つぎつぎ、強力に近代化、文明化の方向にすすんでゆくだろう。人民のくらしは楽になり、第一地域の人たちの生活に接近するだろう。そこでどうなるか。
  • 生活水準はあがっても、国はなくならない。それぞれの共同体は、共同体として発展してゆくのであって、共同体を解消するわけではない。第二地域は、もともと、巨大な帝国とその衛星国という構成をもった地域である。帝国はつぶれたけれど、その帝国をささえていた共同体は、全部健在である。内部が充実してきた場合、それらの共同体がそれぞれ自己拡張運動をおこさないとは、だれがいえるだろうか。現に、われわれは、第二地域の各地において、その兆候らしきものを観察することができるように思う。
  • 第二地域は、将来四つの巨大なブロックの併立状態にはいる可能性がかなりおおいとおもう。中国ブロック、ソ連ブロック、インド・ブロック、イスラーム・ブロックである。それぞれは、たしかに帝国ではない。しかし-こういうところでトインビー氏の用語を採用するのは、いささかわたしの自尊心にそむくのだが-それらはかつて、かれらが属し、革命によって破壊したところの、むかしの帝国の「亡霊」でありえないだろうか。それぞれ、清帝国、ロシア帝国、ムガル帝国、およびスルタンのトルコ帝国の亡霊たち。
  • もし、そういうふうになってきたとき、そのほかの第二地域に属するたくさんのちいさな国ぐに、および、巨大なる亡霊のふところにのみこまれた多数の異民族、こういう人たちがどんなふうにとりあつかわれてゆくだろうか。それは、われわれ第一地域に属して、単一の民族で共同体を形成しているものには全然ない問題だ。それは、かれら、第二地域の人たちの課題である。

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