大人になりきれない、そんな人へ。

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晩年 (新潮文庫)

太宰治のデビュー作。

太宰治のデビュー作品集である『晩年』。
短編集で、作品が多く収録されています。
けれど、『晩年』というタイトルのものはありません。

とても不思議な雰囲気です。
作品の中では、詩が随所に散りばめられています。
文章の前後でつながりがないような部分やストーリーとして成立しているのか疑問に思ってしまう部分もあります。
普通はそれで驚いてしまって、戸惑い、場合によっては読みたくなくなるのでしょうけれど、それでも読みたくなってしまう。
それは、太宰の言葉の魅力だと思います。
言葉が魅力的だなと思うのは、地の文だけでなくて、登場人物同士の会話でも感じます。
すごくセンスがあるというか、おしゃれな感じというか、やりすぎてしまってキザな感じもありそうな、そんな印象でした。

太宰が今でも読み続けられている理由は、若者独特の描写があるからかなと思います。
中でも、『道化の華』は特にその感じが強かったです。
自殺しそこなって入院している若い男性が主人公で、隣の部屋の女の子にかっこよく見られたくてポーズを取ってみたり、お見舞いに来た友達とバカを言い合って盛り上がったりします。
彼はきっと、大人になりきれなくて社会に馴染めず夢を追いながら絶望している、そんな感じ。
昔の作品でも、共感できる部分は多いと思います。

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