青春は桜の実のように甘酸っぱい。

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桜の実の熟する時 (新潮文庫)

人生に迷う。

島崎藤村の青春小説で著者自身も年若い読者に勧めてみたいと書いています。

主人公は捨吉という書生さん。
地方から東京に出て来て、大学に通っています。
明治23年から26年の藤村の体験をもとにしている自伝的小説です。

描かれているのは100年以上前の世界。
なので、女の人が島田髷で着物姿という描写があります。
明治に入って西洋化としきりに叫ばれていたけれど、実際に人びとの生活が切り替わるのはもっと後だったんだろう、ということがわかります。

捨吉さんは、人生に迷っています。
うじうじ悩んでいる描写があるわけじゃないけれど、大学を出た後、自分はどういう仕事をしたいのか、という将来像を明確に描けていないようでした。
目の前で起こる出来事に対してこれはしてみたい、これはしてみたら自分には不向きだった、そんなふうに自分は何をしていこうというのを探している様子が描かれます。
世話してもらった家の主人に期待をかけられましたが、結局はそこから外れた方向へと踏み出します。
その踏み出した時の描写は今のビジネス書に書いてあってもおかしくないような決意のように感じました。

そして、心を狂わせるような恋。
青春は桜の実のように甘酸っぱい。
すごくきれいな小説だと思いました。

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