医療への過度の期待が、逆に医療を歪ませる

3770views折笠 隆折笠 隆

このエントリーをはてなブックマークに追加
医療幻想: 「思い込み」が患者を殺す (ちくま新書)

薬は効くという幻想

抗がん剤は延命効果のみ。治療は不可能、ということを知らない人が多い。

  • しかも、5人中1人でも効果があれば薬として認可される。つまり延命効果すらない場合も

ヒアルロン酸やコラーゲンのサプリメントも、論理的に効果はない。

  • 本当に効果があるなら、厚労省の認可を受け堂々と医薬品として発売するはず

名医幻想

「名医」の基準は一言では言えない。手術件数や治療成績などは意味なし。

  • ドラマのように、1人の患者に時間を割いて対応するのは無理。他患者の不満が爆発する

開業医は客を呼ぶため、専門以外の診療科目を掲げる事も多い(違法ではない)。

  • 逆に掲げる診療科目が少ない病院は、技術に自信がある証拠

一般人は、人格や技術に優れた名医像を求めすぎる。医者も人間だ。

診断幻想

病名が分かると、患者はホッとする。それが落とし穴。

  • 病名が分かっても治療法が分からないケースは珍しくない(いわゆる難病でなくても)
  • 自律神経失調症とは、要するに「よくわからない病気」と同じ意味

診断基準の変更で、以前なら病気ではなかったはずの「患者」が作られていく。

  • 認知症はここ10年で倍増。患者を増やしたい製薬会社の圧力か?
  • 「主人在宅ストレス症候群」って…。もはや病気ではない。何だこれは

厚労省が増進する幻想

意味のない健康診断が多すぎる。実は、がんの3.2%はレントゲン検診での被曝が原因。

  • 早期発見してしまったために、無用な臓器切除等のリスクが生まれることも
  • そもそも健康診断の効果は? フィンランドの調査では、検診に無関心な人の方がむしろ寿命が長い

海外で既に使われている薬について「日本ではなかなか認可されない。遅い」と批判される。

  • だが、スピード認可されたイレッサで問題が起こると「早すぎる」と批判集中。では、どうすればいい?

高齢者の医療幻想

アンチエイジングは愚の骨頂。老化は適度に受け入れるべきもの。

  • 抗酸化力の微妙な改善ぐらいで「若返り!」と言われても…。もはや、おまじないの域

国がリハビリの補助を180日までに短縮したのは正しい。

  • リハビリは効果が極めて限定的で、長く続ければいいというものではない

医師不足幻想

医療の複雑化や新臨床研修制度の不具合で、医師の業務が激増。結果的に人手不足に。

  • 僻地への医師派遣減少は、皮肉にも医局制度の廃止が原因

患者自らが、医師の業務を増やしている。

  • 夜間小児科救急の9割は緊急診療の必要なし。医師を疲弊させ追い込むだけ
  • セカンドオピニオンの8~9割はファーストと診断が同じ。何回も診るのは無用な業務増

マスメディアが広げる幻想

まだ実験段階の治療を、今にも実現するかのように喧伝する。

  • 危険性は一切説明しないからズルい。いい治療法があるのに国や医者は何やってんだ、となる
  • 率直に言って、再生医療・認知症の克服実現はまだ夢物語

病院に行けば安心という幻想

日本人の入院好きは異常。

  • 製薬・医療業界が不安を煽り、一方で患者も過剰な治療で安心を得たがることが根底にある

死ぬならがんがいいと思っている医者は少なくない。

  • 心筋梗塞や脳出血と違い、死ぬ準備(心構え)ができるから
  • がん治療は副作用が避けられない。治療せず残りの人生を有意義に生きるという選択肢もある

患者は過度に医療へ期待をするな。医者も医療の限界を明示し、無駄な治療で儲けるのを控えるべき。医者・患者双方の意識改革が大事。
 

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く