なぜ韓国はパチンコを全廃できたのか(若宮健)の書評・感想

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なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか(祥伝社新書226)

http://blacknightgo.blog.fc2.com/blog-entry-2026.html

本書は、日本のメディアが一切報道しない、韓国でパチンコが全廃された件について、日本で初めてレポートした著者による作品です。
韓国ではここ10年くらいの間にパチンコが大ブームになり、それに伴って犯罪や自殺者が増加するというような状況になっていた。
ノ・ムヒョン大統領の甥や側近が絡んでいたのではないか、という疑惑の持ち上がった「海物語」という機種についてマスコミが大きく報道をし、そこからパチンコ反対の機運が一気に高まり、その後警察が一斉取締り。最盛期は日本と同数のパチンコ店があったという韓国だが、今は細々と裏で行っているもの(それも適宜警察に摘発される)を除けば、韓国にパチンコは存在しないという。
翻って日本は何故パチンコ全廃出来ないか。マスコミはパチンコ業界からの広告料に目がくらみ、パチンコ業界を悪く言う報道は一切しない。政治家には「パチンコ議員」と呼ばれる、パチンコ業界にぶらさがって擁護している人たちがいて、国会でパチンコ業界が衰退してしまうことについてどう責任を取るのかと詰め寄るような光景も見られる。そして何よりも、パチンコ業界の関連団体へ警察OBが相当数天下りしているので、パチンコ業界は完全に守られているという状況がある。
凶悪犯罪を引き起こし、家族を崩壊させる温床となるパチンコを未だに放置し、あまつさえ業界を養護さえしている日本という国は危険なのではないか、と警鐘を鳴らす作品です。
さて、非常に評価の難しい作品だな、と思います。
題材は非常に面白いんです。僕はこの新書が発売されるまで、韓国がパチンコを全廃したことをまったく知りませんでした。そういう人は恐らく多いだろうと思います。日本のマスコミは一切そういうニュースを流していないのですね。それだけでも恐ろしいなぁ、という感じがします
韓国がどういう状況になり、パチンコがどういう扱いをされていて、どういう判断の末全廃にまでもっていけたのか、という部分は興味深いんですね。もっと深く突っ込める題材だよなぁ、と思いました
題材は非常にいいんですけど、評価が難しい点というのは、一言で言ってしまえば、全体的にちょっと雑なんですね
非常にまとまっていない感じがします。色んな断片を寄せ集めてとりあえず並べてみました、というような感じがします。データもそこまで多くなくて、「◯◯なのではないだろうか」というような、憶測による論旨展開も結構あります。事実よりも感想、という感じですね。さらには、一箇所「ウィキペディアによると」というような、出典がウィキペディアであることを明かしている部分があるんだけど、それはジャーナリストとしてどうなのかなぁ、という感じはしました。それぐらい、自分の足で調べた方がいいんじゃないかなぁ、と思っちゃいました。「ウィキペディアによると」なんて自著に書けてしまうジャーナリストというのは、うーん、なかなか承認しがたいものがありますなぁ
さらに、知り合いや近所の話、というのが非常に多い。いや、これはそれ自体は別に悪くない。でも、取り入れ方がダメだと思うんですね
例えばこういう風な取り入れ方ならいいと思うんです。まず取材によりあることが明らかになる。その例として、例えばウチの近所では(あるいは自分の知り合いには)これこれこういうことがありますよ、というような感じですね。これはいいと思うんです。でも本書の場合、まず著者の憶測がある(取材によって確定したものではなくて、著者の感想という感じ)

感想

韓国がパチンコを全廃したという事実を伝えた、という一点は評価したいです。ただ、ノンフィクションとして評価するのはちょっと厳しいなぁ、という感じの作品です。取材というよりは、韓国に何度か行ってその辺の人に話を聞き、日本の状況は近所や知り合いの話とかニュースで流れる事件なんかからざっくり敷衍して書いてみました、というような感じです。個人的には、韓国がパチンコを全廃したというこの出来事について、別のジャーナリストによるノンフィクションを読みたいなぁ、という気がしました。ちょっとそういう意味では残念な作品だったかなという感じはします。ただ題材は非常に面白いです

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