オールド・ルーキー 先生は大リーガーになった(ジム・モリス)の書評・感想

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オールド・ルーキー―先生は大リーガーになった (文春文庫)

http://blacknightgo.blog.fc2.com/blog-entry-2034.html

本書は、著者自身が経験した、ちょっと驚きの実話です。
子供の頃から野球に魅せられていたモリス。軍に務めていた父親の関係で引越しばかりの生活だったモリスにとって、唯一の友達は野球だったり、野球を通じてしか誰かと親しくなることは出来なかった。
モリスは幼い頃から、野球だけに限らず、ありとあらゆるスポーツで怪物的な才能を発揮した。野球もフットボールもバスケットボールも、何でも周りの子供たちよりうまくやった。走るのも早かった。
モリスは、人生の早い段階から、大リーガーになることを見定めていた。それ以外、何も考えなかった。
モリスは大リーガーへの夢を叶えるべく、もちろん努力をした。しかし、その努力は、怪我などによってなかなか実ることがなかった。結婚し、子供をもうけたモリスは、野球への道を諦め、堅実に仕事をし給料を手に入れる人生を選んだ。
しかし、運命は彼を、そのまま放っておくことはしなかった…。
というような話です。
バイト先の人が絶賛してて、それで借りて読んだ本なんだけど、僕にはちょっとうーむ、という感じだったなぁ。
個人的な意見を言うと、ちょっと焦点を当てるべきエピソードの取捨選択が間違ってるような気がする。確かに、著者自身であるモリスにとっては、婚約者とのあれこれは大事な部分だろうし、正確さ追求するための細かな描写も必要だったのだろうけど、僕にはそういう部分がちょっと退屈に感じられた。一方で、モリスが子供たちに野球を教える立場になり、そこで、自分たちがプレイオフまで行ったら先生も大リーグのトライアウトを受けてください、と言われてから実際に大リーガーになるまでの、僕からすれば一番盛り上がる部分なんじゃないか、っていうエピソードが実にさらっと描かれている。そこはもっと重点的に描かないとダメなんじゃないかなぁ、という気がしました。少なくとも、奥さんとの出会いやその後のあれこれなんかを書くよりはよっぽど重要な部分ではないか、という気がします。
子供時代のあれこれのエピソードや、両親とのあまり良いとは言えない関係なんかは、モリスという個性がどう形成されていったのかを語る上で重要だろうから、そういう部分はいいんだけど、もっとエピソードの取捨選択が僕に合うような形でされていたらよかったのになぁ、という感じがしました。
ストーリー自体はなかなか刺激的だと思います。何度かの怪我や、奥さんや子供を養っていかなくてはいけない男が大リーガーの夢を一旦諦めるも、そこから奇跡的に復活する、というのは、それが現実に起こったことだという衝撃も加わって、ホントに面白い話だと思います。これだけ素晴らしい素材なのだから、もう少し調理の仕方をきちんとすればもっと面白い作品に仕上がったんじゃないかなぁ、と思うんだけど。

感想

恐らくこの本は、モリス自身が書いてるんだろうけど、やっぱりプロのノンフィクションライターみたいな人が書いたらよかったんじゃないかなぁ、と思います。自身が経験したことを書く場合、どうしても、自分が書きたい部分と、読者が読みたい部分との擦り合わせみたいなものが難しいんじゃないかと思うんだよなぁ。
個人的には、ちょっともったいない作品かなという気がします。題材は素晴らしいのだけど、作品としてはもっともっと良いものになる予感を抱かせる作品でした。

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