六本木少女地獄(原くくる)の書評・感想

1767views黒夜行黒夜行

このエントリーをはてなブックマークに追加
原くくる処女戯曲集 六本木少女地獄 (星海社FICTIONS)

http://blacknightgo.blog.fc2.com/blog-entry-2052.html

本書は、5つの戯曲が収録された戯曲集
著者は女子高生です
演劇部なんか全然強くない、原くくるが入部した時部員が3人しかいなかった、学校内でもほとんど存在を認知されていなかったような都立六本木高校の演劇部に入部した原くくるは、自らが脚本・演出・出演を務めた「六本木少女地獄」という演劇で東京都高等学校演劇コンクールでして教育委員会賞・審査員特別賞・中央委員会章・アマチュア演劇創作脚本賞を受賞しまう。のみならずこの「六本木少女地獄」は、関東高等学校演劇研究会で優秀賞を受賞

「うわさのタカシ」
シズカとエミリとサトコという三人の少女が、タカシという男の部屋にワラワラと集まる。タカシは今オーストラリアに言っていていない。その三人の少女たちはみな、タカシの彼女であると主張するのだ。薄々分かってはいたけれど、タカシが浮気をしていた事実を知り混乱する三人。皆、自分こそがもっともタカシに愛されていると主張して止まない…

本書に収録されている戯曲の中で、最も分かりやすい作品だと思いました。筋書きが時系列が直線的で、凄くシンプルです。ラストの方はなんだか不穏な展開になっていくんですけど、基本的には三人の少女が一人の男を取り合うというシンプルな話で、なかなか面白かったです

「家庭教師のドライ」
タカシ(「うわさのタカシ」のタカシと同一人物)の部屋に、友人が集まってダラダラしている。そこに、家庭教師ドライが現れる。すべての事柄をドライに判断する、タカシが鬱陶しいと感じている家庭教師で、タカシが望んでいないのに部屋にやってくる。ウザい。と何故か、家庭教師ウエットとか言うのまでやってきて、どっちが家庭教師に相応しいか勝負することに…

これも話としては分かりやすいんですけど、既に結構ハチャメチャな感じですね。初めはただのアホみたいなやり取りの応酬だったのが、次第に色々新事実が出てきて、みんなが(っていうかタカシが)どんどん混乱していく、という話。ラスト付近のオチが「うわさのタカシ」と絡んでくるんで、なかなか巧いですね。

「スズキくんの宇宙」
「銀河鉄道の夜」を下敷きに、学校でいじめられている鈴木が時空をあちこち飛び回る中で、大事なことに気づく、という話。

というような内容紹介しか出来ないなぁ。これは文字じゃなくて、実際の演劇として見てみたかったな、という感じがします。色んな時代を行き来したり、なかなか幻想的(なんじゃないかなぁ)なシーンが散りばめられていたりと、実際の演劇として見たらどうなるのか非常に気になる作品でした。しかし、少なくとも文字で読んでいる分には、話はよく理解できなかったなぁ。

「月の爆撃機」
父と母が姉妹に重大な告白をしようとしているのだけど、妹の早とちりや予期せぬ闖入者の存在によって、両親の告白は一向に進まない。不良三兄弟たちとの不毛なやり取りに時間を取られている間に巨大地震が起き、ななんと、月が地球にぶつかることになるらしい。そこでようやく、両親が◯◯だったと知る姉妹だったが…。

なんというか、中二病色満載の作品で素敵ですね。話をちゃんと理解できているわけではないんだけど、この作品は凄く雰囲気が好きです。世界の滅亡とホームドラマをくっつけた作品で、それだけでもう中二病って感じだけど、なんか面白く読めるんだよなぁ。

「六本木少女地獄」
六本木にやってきた少女。想像妊娠する少女。ボクケットミントンという謎のスポーツをやる羽目になった弟…

感想

だから、ちょっとだけ演劇ってものに興味があったりします。「六本木少女地獄」は、本書で読んだ限りではさっぱり意味不明な感じだったんですけど、演劇で見てみたい気がします。
何にしても、こういう才能に満ち溢れているような雰囲気を漂わせる人はいいですね。
原くくるのインタビューはここから読めます(僕はこれを読んで、本書を買おうと思ったのでした)。
http://sai-zen-sen.jp/sessions/hrkkr/

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く