人同士のつながりを設計することで地域を活性化する「コミュニティデザイン」とは?

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コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書)

コミュニティデザインとは、人のつながりをデザインする仕事である。デザインとは、社会的な課題を美しく解決する行為。
 

なぜいま「コミュニティ」なのか

街が衰退する原因は、地域活動の屋内化とコミュニティの弱体化。

  • かつて屋外で行われていた地域活動が屋内に移行。コミュニティの力が弱まってしまった
  • では、新たなコミュニティに屋外空間を活用してもらえる仕掛けを行えば変わるのでは

人口減少地域こそ、日本の先進地域だ。

  • この100年は歴史的に見て特異な人口増加期。減少した方が、実は適正な姿なのかも
  • 人口増加期は東京を手本にすればよかった。だが、人口減少時代にはまるで役に立たない
  • むしろ人口減少地域の方が、すでに高齢化など危機に直面し課題に取り組んでいる。将来のモデル・知見を生みだすはず

財源が減っていく今後、「街づくりは行政お任せ」では立ち行かない。

  • 地域住民が街づくりに参加する時代になっていく。コミュニティデザインはその環境を整える役割

つながりのデザイン

コミュニティデザインは「ものをつくらないデザイン」だと、あえて宣言している。

  • ハード(施設)に頼らなくても、街の課題を解決する手法はある

現代の「街の豊かさ」とは、住民が生き生きと活動し、豊かな人間関係に恵まれること。

  • 豊かさ=金だった時代とは、要請されるデザインが当然異なる

B・オニール(米)の「パークマネジメント」はデザインの好例。軍用地を公園として再生。

  • 例えば、敷地内の泥を使った泥石鹸製作や、レクチャー後実際に湿性植物を植えるワークショップ。敷地の自然回復が見込めるため、受講者は快く参加費を払う
  • ほか近隣学校の理科授業を引きうけるなど、立地を生かした収益モデルも

人が変わる、地域が変わる

コミュニティデザインの実践を通して、人材が育っていく。

  • 行政に一切関心がない人々が、自分のできる範囲で作業ややりがいを見つけ出し、やがて地域のつながりの結節点となる。この経験は本人の財産になる

中山間離島地域こそ、魅力たっぷり。

  • 人同士のつながりがまだ残っているし、都市部が30年後に直面する課題にすでに動き出しているから
  • 里山は、保水や大気の浄化機能など重要な価値がある。守り続けるべき存在

集落の専門家「集落診断士」という人材を提案する。

  • 住民のケアをしながら、集落の課題・改善法を見つける。災害復興時にも応用できる

コミュニティデザインの方法

一概には言えないが、おおよそ以下の方法で行う。

  • 1)ヒアリング/地元の人の話をひたすら聞き、情報を収集。相手と友好関係を築く
  • 2)ワークショップ/地元民が話し合う場を作る。課題を整理・共有して具体的な取組みを決める
  • 3)チームビルディング/実施に向けてのチーム作り。いかに適材適所に人を配置するか
  • 4)活動支援/相談会を始めあらゆる作業をサポート。ただし活動主体はあくまで地元民

参加者の散発的な意見をいかに建設的にまとめるか、がデザイナーの腕の見せどころ。

  • 仕切る側にアイデアの引き出しがないと、うまくまとまらない。だから日々勉強
  • 必要な資質は、単なる豊富な知識ではなく対人知性。酒席でしか本音を引き出せない人は失格
  • 地元の人間関係の力学に巻き込まれないよう、適度な距離を置く(=よそ者のスタンス)
  • チームが自発的に動き始めたら、デザイナーの仕事は一段落となる

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