ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体(適菜収)の書評・感想

1749views黒夜行黒夜行

このエントリーをはてなブックマークに追加
ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 (講談社プラスアルファ新書)

http://blacknightgo.blog.fc2.com/blog-entry-464.html

本書は、現在の日本を動かす最大勢力である「B層」について分析しつつ、そこに、ほらゲーテも昔こんなこと言ってるよ、今の日本もそんな感じでしょう?と、ゲーテの言葉を引用している、と言う内容です。
内容に入る前に絶賛しておきましょう。これ、マジ面白い!!時々新書を読むけど、久々の超超超大ヒットです、僕の中で。
さて、まず「B層」とは何か。
この呼び方の起源は、2004年12月15日に、スリードという広告会社が作成した、「郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略(案)」という資料に載っている呼び方をそのまま使っているものです。これは、いわゆる郵政選挙と呼ばれる、小泉純一郎が大勝した選挙において、内閣府が広告会社に依頼したものです。
そこには、郵政民営化に賛成かどうか、IQが高いかどうか、によって、国民を四つに分類し、それぞれにA層~D層という名前をつけています。
その中で、郵政民営化に賛成でかつIQが高くない人たち、を「B層」と名付けています。
本書では、それをそのまま流用する形で「B層」という呼び方を使っています。本書における「B層」の定義を抜き出してみます

『B層、とは、知的程度がそれほど高くなく、A層(財界勝ち組奇業・大学教授・マスメディア)から投下されたメッセージをそのまま鵜呑みにしてしまう層です。企画書にあるように、「具体的なことはよくわからないが小泉純一郎のキャラクターを支持する層」ですね。
B層は自分のたまで考えるのではなく、A層から結論を与えられるのを待っている。逆にA層にとって、B層は最大の顧客なので、B層向けコンテンツを中心につくるようになります。
その結果、A層とB層の間で増幅作用が発生し、巨大なB層エネルギーが誕生する。そしてこれが社会全体を飲み込んでしまった状態が我が国の現在です』

本書の冒頭には、こう書かれています

『今、日本を動かしているのは誰だと思いますか?
内閣総理大臣ですか?
財務官僚ですか?
アメリカですか?
いいえ、ちがいます。
B層です。』

ここを読んだ瞬間にもう、この作品は間違いなく面白いだろうなぁ、と直感しました

その後にこんな風に続きます

『誰もがうっすらと気づいていたけれど、表立っては言えなかったこと。それは、今の日本の最大の謙抑者がB層であるということです。』

そう、確かに気づいていた。はっきりと、明確に、ズバッとした言葉で自分の中で表現できていたわけではないけど、確かに僕も気づいていた。いやーな雰囲気とともに、そういう最大勢力の存在には気づいていた。本書はそれを、明快な言葉でズバッと文章にしてくれたので、本当にすっきりしました

本書の目的を著者はこんな風に書いています

『本書の目的は、B層を批判したり、からかったりすることではありません。B層を「上から目線」で非難するのは、無意味であり見当違いです
(中略)
B層が一定の割合で存在するのは必然ですし、B層をなくすことはできません。そうではなくて、わが国におけるB層の急拡大が、歴史上どのような土壌の上に発生したものであるのか、そして、それがわが国の将来にどのような影響を与えるのかについて考える必要があるのです』

B層が存在することは仕方ない、というのは僕もその通りだなと思うのです。僕の周りにも、あぁこの人はまさにB層だな、というような人がいたりしますけど、そういう人たちの考え方が変わるとはとてもじゃないけど想像出来ないのです

感想

本書は、日本人必読ではないかと思う作品ですが、特に物を作ったり売ったりしたりしている人には読んで欲しいかもしれません。もちろん、そんなこたぁもう随分前から知っとるわ、という人もいるでしょうし、読んだところで明確な解決があるわけでもなく殺伐とするだけです。ですが、それでも、B層という層をきちんと意識し、それとどう向き合っていくのか、ということを考えることは非常に大事だろう、と思います。本書で描かれる桑田佳祐のように。
というわけで、本当に是非読んでみてください。久々に新書で僕の中で大大大ヒット作品です。メチャクチャ面白いです。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く