死のテレビ実験 人はそこまで服従するのかの書評・感想

1601views黒夜行黒夜行

このエントリーをはてなブックマークに追加
死のテレビ実験---人はそこまで服従するのか

http://blacknightgo.blog.fc2.com/blog-entry-1344.html

この作品は、国が全国民分買い上げて、全家庭に配るべき作品ではないかと思う。マジで、テレビが家に一台でもある人は絶対に読んだほうがいい。

まず、2009年、フランスのテレビ局が実際に行った、とある実験の内容を読んで欲しい。

『架空のクイズ番組のパイロット版(実際には放送されないので賞金が出ないと説明される)の収録に、慎重に選んだ一般参加者を集め、彼らに出題者になってもらう。彼らは問題を読み、解答者(実験協力者)が間違える毎に電気ショックを与えるよう指示される。電気ショックは一問間違える毎に電圧が上がり、最高で460ボルトまである。そしてその電圧まで行くと解答者を死に至らしめるかもしれない、と予感させるような状況にある
さてその状況の中で、果たして参加者の内、何%の人が460ボルトまで電気ショックを与えただろうか』

正解を書く前に、少し背景的な説明をしようと思います
まずこの実験は、1960年代にアメリカのイェール大学でミルグラムという心理学者が行った、通称「アイヒマン実験」と呼ばれる、心理学の分野で非常に有名な実験をテレビに応用したものだ。
そのアイヒマン実験とはこうだ。ミルグラムは、記憶力に関する実験と称して被験者を募集し、科学実験という<権威>のもとで、被験者が見ず知らずの相手に対して電気ショックを与える場を設定した。実験内容は、被験者が「先生役」となって問題文を読み、「生徒役(学習者)の人」(実は実験協力者)がそれに答え、もし答えがまちがっていたら電気ショックを与える、というものだ。電気ショックの強さは間違える度に上がり、最高で450ボルトという、死んでもおかしくない強さに設定されている
このアイヒマン実験は、当時大きな反響を巻き起こした。このアイヒマン実験では、実に60%強の人々が、450ボルトの電機食器を生徒役に与えたのだ。これは何度も追実験が行われ、その度に同様の結果が出ている、信頼できる実験である
これは、『<権威>から良心に反する命令を受けた時、個人はどれくらいの割合でそれに服従するのか』を調べる目的で行われた実験だ。この実験の名前の元になっている、ナチス・ドイツで上司の命令により数百万人の人々を収容所に送る手配をしたアドルフ・アイヒマンは、当初とんでもない冷酷非常な人間である、と思われていた。しかしこのアイヒマン実験が行われ、その結果が広まるにつれ、善良な人間であっても権威から命令されれば自らの良心に反してでもそれに従ってしまう、という人間の行動が明らかにされたのだ
冒頭で書いた実験は、そのアイヒマン実験の応用だ。この実験で目的としていることは二つある。一つアイヒマン実験と同じく、『人は服従しやすいのかどうか』である。そして、もう一つの目的の方がより重要である。それは、『テレビは<権威>を持つかどうか』である
さてこの辺りで冒頭の実験の正解を書こう。アイヒマン実験では、最後まで電気ショックを与え続けた人は、全被験者の60%強だった。2009年に行われたクイズ番組を舞台にした実験では、なんと81%もの人々が最後まで電気ショックを与え続けたのだ
本書は、この実験を思いついたフランスのテレビマンとその実験に協力した一人であるジャーナリスト兼哲学者による、どうしてこの実験をしようと思ったのかという話から、実験が実際にどう進みどんな結果が出たのか、そしてどうしてそういう結果になったのかまで考察している作品です

感想

現代社会では、恐らく様々な場所で、こういう価値観の植えつけ合いが行われているはずです。その流れに逆らうことは本当に難しい。でも、僕は個人的には、自分がどんな価値観の植え付けに加担しているのか、それについて自覚的であるべきではないか、という感じを強く持っています。もちろんこの言葉は、自分にも向けられているわけですが。久しぶりに、ここまで衝撃的な作品を読みました。本当に、普段本をまったく読まないという人でも、これだけはとりあえず読んだ方がいいと思います。是非とも読んでみてください。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く