言葉を考え直してみる

24463viewsvioletReadervioletReader

このエントリーをはてなブックマークに追加
街場の文体論

普段何気なく使っている言葉を見直したい人には、興味がある内容だと思います。

言葉を考え直してみる

言葉で気持ちを揺さぶるには

  • 僕らの身体の中心にあって、言葉や思想を紡いでいく基本にあるものは、かたちあるものではない。それは言葉にならない響きや波動や震えとか、そういうような非言語的な形態で、死者たちから生者たちへと手渡される。言葉というのは、「言葉にならないもの」をいわば母胎として、そこから生成してくる。それを「ソウル」と言ってもいいし、「生身」と言ってもいいと僕は思います。そこから発してくる言葉だけがほんとうに深いところで人を揺さぶる。

トラウマとは

  • それは、記述する言葉がない「虚の経験」のことですから、「それについて」書くことはできません。できるのは「それが書く」ことだけです。
  • トラウマというのは、「それを適切に言語化できない」という無能力そのものが、その人の人格の根源的な部分をなすような経験のことです。

リテラシーとは

  • それは、自分では自分が何をしているのか分からないままに行使されている能力なんです。自分がどのようなリテラシーを駆使しているのかが分からないから、それはリテラシーなんです。
  • 「間違った状況」に対しては、これは変だ、変だからやらないというのは、「生き延びるリテラシー」からすれば正しい反応です。「理不尽だと思うけれど、皆がやっていることだから自分もやる」というふうに考えるのは「生き延びるリテラシー」がない人です。

外国語を学ぶ最良の意義

  • 理解できない言葉、自分の身体の中に対応物がないような概念や感情にさらされること、それが外国語を学ぶことの最良の意義だと僕は思います。浴びるように「異語」にさらされているうちに、あるときは母語の語彙になく、その外国語にしか存在しない語に自分の身体が同期する瞬間が訪れる。それは、ある意味で、足元が崩れるような経験です。自分が生まれてからずっとそこに閉じ込められていた「種族の思想」の檻の壁に亀裂が入って、そこから味わったことのない感触の「風」が吹き込んでくる。そういう生成的な経験なんです。

マジョリティは地殻変動を起こさない

  • 帰属している集団のサイズが大きいということは、その集団が正しい方向に進んでいるということを必ずしも意味しません。今の日本のような、地殻変動的な社会の変化が起きているときは、むしろ最大集団のほうが環境に適応できなくなっている可能性がある。マジョリティが「正しい方向」に進んでいたら、これほどの社会変動が起こるはずがありませんから。マジョリティが危ない方向に向かっているとき、生き延びるためには、みんなは「向こう」に行くけど、自分は「こっち」に行った方がいいような気がするという、己の直観に従うしかない。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く