絶望(ナボコフ)の書評・感想

2159views黒夜行黒夜行

このエントリーをはてなブックマークに追加
絶望 (光文社古典新訳文庫)

内容に入ろうと思います。
ベルリン在住のゲルマンは、プラハ出張の際、自分と「瓜二つ」の浮浪者に偶然出会う。フェリックスと名乗るその浮浪者と出会ったことで、ゲルマンは保険金殺人の計画を頭の中で練り始める。自分の周囲にいる誰をどんな風に説き伏せて、どんな風に行動に移せば、この「完璧な犯罪」をやり遂げることが出来るだろうか。ゲルマンは、様々な困難を乗り越えながら、ついにその犯罪に手を染めんとするのだが…。
というような話です。
僕は古典作品を読むのが苦手だという話はこのブログでも何度もしているので、今更恥ずかしいもなにもないのだけど、本書は、最後まで読んでも、うーん、という感じだった。どうして最後、あんなことになったんだろうなぁ、というのがよく分からなかったし、全然話が進んでいかない展開にもイライラさせられたりした。
ただ、本書には訳者による解説が巻末に載っているのだけど、それを読んで初めて本書がどんな話なのかきちんと理解し、「なるほど、そういうことだったのか!」と思わされた。ダメダメ過ぎますね。そういうことなら理解できる。なるほど、ラストああいう展開になったのは、なるほどなるほどそういうことなんでしたか、ということを、解説を読むまで気づかない、という体たらくである。ホントにこの、古典読めない病はどうにかしたいものだ。本書の場合、まず解説から読みたかったなぁ、という感じもある。ただ、解説では絶賛ネタバレがされているので、解説から先に読むことをオススメするわけではない。
ネタバレになるので、解説でどんなことが書かれているのかを詳しく書くわけには行かないのだけど、一点だけ。本書は、全体の体裁としては、「完璧な犯罪計画を立てた男が、自らの準備の過程と顛末を小説に仕立てている」という、まあ犯罪小説と言っていい作品なんだろうけど、でもその奥には、「小説を書くこと(読むこと)についての小説」という別の骨組みがある。説明されると、なるほどそういうことか、ナボコフすげーな、っていう感じになるのだけど、でも自分では、そういうの、読み取れないなぁ。
訳者はまた、こんな風にも書いている。

『ナボコフが最も嫌っていたのは、(中略)つまり、細部を読み飛ばしてストーリーや「作者の言いたいこと」だけをせっかちに読み取ろうとする凡庸な読者であり』

あぁ、これは僕のことだなぁ。というか、現代小説を読んでいる多くの人にも当てはまっちゃうんではないだろうか。僕が古典作品が苦手な理由は、まさにこの点にあると思われる。本書でも、ストーリーが全然進まないなぁ、なんて思いながら読んでいたわけで、まさにナボコフが最も嫌う読者として振る舞ってしまったわけだ。でもまあ、それもまた仕方なし。これ以上「読む力」を鍛えるのは、無理そうだしなぁ。

感想

ナボコフの作品を読んだのは本書が初めてですが、訳者によれば、ナボコフが「ロリータ」によってアメリカで成功して以降の作品は、なかなか難解らしいです。でも本書は、ナボコフが駆け出しの頃にロシア語で書かれた作品で、その頃の作品は「ロリータ」などに比べたら読みやすいらしい。確かに、文章の調子なんかはなかなか軽妙で、難しそうなイメージだったんだけどナボコフってこういうライトな感じだったんだ、と勘違いしてしまうほどでした。僕は古典作品が超苦手なので、本作でも巧く読めませんでしたけど、難解と言われる(らしい)ナボコフの作品の中では、比較的読みやすい作品なんじゃないかなと訳者の文章を読んでいてそう思いました。

絶望 (光文社古典新訳文庫)

絶望 (光文社古典新訳文庫)

  • ウラジーミル ナボコフ

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く