なぜ人は眠るのか?睡眠の役割

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なぜ眠る? 眠らないとどうなる?

私たち人間は、なぜ眠るのでしょうか。いくつか理由がありますが、とくに重要なのは、脳を休息させるためです。

人間の脳は、ほかの動物とくらべて高い能力を持っています。私たちは昼間、この脳をフル稼働させて生活しています。そこで、疲れた脳を休ませて回復させるのが睡眠の一つの役割なのです。熟睡中は脳の温度を下げて、疲労から回復させるのです。

もし、睡眠がとれずに働き続けると、眠気でぼんやりとして頭の働きが低下し、注意力や判断力が落ち、心理的にもイライラしたり、情緒不安定な状態になります。自動車のエンジンを酷使するとオーバーヒートを起こすのと同じで、人間も無理して遅くまで起きていたり、脳を酷使したりすると、オーバーヒートを起こします。

このような事態を防いでくれるのが睡眠です。仕事のミスや気分の不調という睡眠不足の影響も、十分に眠ったあとには回復することができるのです。

脳だけでなく、体にとっても睡眠は重要

昔から「寝る子は育つ」と言われますが、深い睡眠中には、成長ホルモンがさかんに分泌されるのです。成長ホルモンの主な働きは、骨や筋肉の成長を促すもので、文字どおり子供の成長には欠かせないものです。大人にとっても大切な役割を果たしています。骨や筋肉の組成を促すだけでなく、疲れた体を回復し、日中の活動で荒れた肌や病気による体の損傷を修復するという働きがあるからです。

睡眠中には、昼間の活動の準備も進む

血糖値を上げ、さまざまなストレスに対抗するコルチゾール*というホルモンの分泌が朝に向けて増え、目覚める直前に最大になります。

もう一つ、ウイルスや細菌などの進入を防ぎ、撃退するための免疫物質も睡眠中に作られます。「風邪はよく眠らないと治らない」といわれるのはこのためです。 ●夜だから眠るしくみ
人が眠るしくみには、右に述べた「疲れたから眠る」以外にもう一つ「夜だから眠る」というしくみがあります。

私たちは1日中ゆっくり過ごした日でも、夜になれば自然に眠くなります。逆に徹夜した時の朝は頭がぼんやりしてつらいものですが、起きて活動していると昼近くになると眠気が覚めてきます。これは人間に、夜になると眠くなり、朝には目覚めるしくみが備わっているからです。このしくみが体内時計です。

体内時計は人間だけでなく、すべての動物が持っており、人間では脳の視床下部にある視交叉上核というところがこの機能をつかさどっています。

人間は、洞窟のような温度や光の変化のないところで生活をしていても、ほぼ1日の周期で活動と眠りを繰り返します。昼にあたる時間帯には体の温度や血圧、脈も高くなって活動しやすくなり、夜には逆の変化が起きて休息に適した状態に切り替わっていくのです。

体内時計の調節に欠かせないのが光です。体内時計は起床直後に目に入る太陽の光を判断材料にして、朝であることを認識するのです。そして、その時刻から12時間くらいは体を活動モードにしますが、光を感知してから14~16時間たつと、今度は脳の松果体に信号を送り、メラトニンというホルモンを分泌するように命令します。このメラトニンの分泌から1~2時間後に自然な眠気が出現してきます。

これらからわかるように、夜しっかり眠るためには、夕方以降の過ごし方はもちろんですが、より大切なのは朝の行動です。

眠りたい時間に自然に眠気が訪れるようにするためには、その時間から14~16時間さかのぼった時刻に起きて、太陽の光を浴びることがポイントになります。

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