シリーズ4冊目です。ミステリ以外にも印象的な名言が多いです。
詩的私的ジャック
概要
- 大学施設で女子大生が連続して殺された。現場は密室状態で死体には文字状の傷が残されていた。捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が似ていたのだ。N大学工学部助教授・犀川創平とお嬢様学生・西之園萌絵が、明敏な知性を駆使して事件の構造を解体する。
男女について
- 男女平等と職業とは無関係だ。つまり、男と対等になるために、仕事をするなんてナンセンスだよ。それでは、仕事をしている者が偉いという、馬鹿な男が考えた言い訳を認めることになる。いいかい。仕事をしていても、遊んでいても、人間は平等だ。問題をすり替えてはいけない。
- 女の子は人形を買ってもらうと、今度は人形の服が欲しくなる。その次は、その人形の住む家が必要になる。女性は、一般に、安定した世界のまとまりを早く構築しようとする。バランス感覚に優れている、といえる。男の子にミニカーを与えると、その子は、同じようなミニカーを幾つでも欲しがる。男性は、そもそもバランス感覚に欠けているのである。
- 女性の人格は変化が素早い。周囲の人間の影響をすぐ取り入れることができる。科学的に表現すれば、比熱が低いということだ。男性は、なかなか変化できない。ある意味で不器用なことが多い。ところが、長い時間、他人とつき合っていると、男性もだんだん影響を受ける。熱容量の大きい方が、元に戻るのに時間がかかるものだ。
価値観について
- 他人に干渉するな、と要求することは、そういって、他人に干渉している。 自分が特別だと思っている、それ自体が特別ではない。 意識とは不自由なものだ。 こうして、自分のアイデンティティは、素直な思考によって不可逆的に軟弱になっていく。 最も効果的な防御とは、考えないこと。 まるで、座禅ではないか……。いや、きっとそのとおりなのだろう。
- 「相手の思想を楽観的に期待している状況……、これを、甘えている、というんだ。いいかい、気持ちなんて伝わらない。伝えたいものは、言葉で言いなさい。それが、どんなに難しくても、それ以外に方法はない」
- 世間体を気にしない、まったくの自由人は、それが自分のライフスタイルだと思い込むことで、自分の体裁を気にしている。格好をつけるのが嫌いだ、という人間は、格好をつけないことが、格好の良いことだと思っていて、つまり、格好をつけている。 問題は同じだ。 他人に干渉するな、と要求することは、そういって、他人に干渉している。 自分が特別だと思っている、それ自体が特別ではない。 意識とは不自由なものだ。 こうして、自分のアイデンティティは、素直な思考によって不可逆的に軟弱になっていく。
- 「動機なんて、本当のところ、僕は、聞きたくもないし、聞いても理解できないでしょう。それに、本人だって説明できるかどうか・・・・・・。こんな欲望が、言葉に還元できるものでしょうか。他人に説明できて、理解してもらえるくらいなら、人を殺したりしない。そうではありませんか?」
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