『冷たい密室と博士たち』の名言

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冷たい密室と博士たち DOCTORS IN ISOLATED ROOM (講談社文庫)

理系ミステリ以外にも、『様々な思考回路』と『学問と研究の本質』としてズンと来る名言がある一冊です。

『冷たい密室と博士たち』の名言

概要

  • 低温度実験室で起きた不可思議な密室殺人劇同僚の誘いで特殊な実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様女子大生・西之園萌絵。完全密室のその建物の中で二人の男女の院生が殺された。鋭いトリックと意外な結末!

様々な思考回路

  • 犀川の思考回路は、喜多や萌絵のような無機的な論理では作動しなかった。犀川は、自分が犯人ならば、とまず考えてしまう。そう考える以外に、他人の行動を客観的に推し量ることは無理だった。喜多や萌絵のような完璧な理系人間は、スタートレックのミスター・スポックのように、主観の中に絶対的な客観性を持っている。だから、あのような客観的な仮説を主観擦ることが可能となる。彼らは、数値によって現象を理解し、数値によって実物体を取り扱う科学者だ。
  • 一方、犀川は、その逆だった。切り替えが可能な複数の主観によってものを見ることが、犀川の客観性なのである。犀川は、自分が明らかに分裂症だと自覚していた。  一晩、あの惨劇のあった実験室にでも籠もって、自分が殺人者であると自己暗示しながら考えることができたら、たぶん、答が見つかるだろう、といった予感もある。これまでに犀川が直面した問題は、この種の手法で解決されたものが多かった。

学問と研究

  • 「学生が、数学は何の役に立つのか、ときいてきたら」 「何故、役に立たなくちゃあいけないのかって、きき返す」犀川はすぐに答えた。「だいたい、役に立たないものの方が楽しいじゃないか。音楽だって、芸術だって、何の役にも立たない。最も役に立たないということが、数学が一番人間的で純粋な学問である証拠です。人間だけが役に立たないことを考えるんですからね」
  • 「面白ければ良いんだ。面白ければ、無駄遣いではない。子供の砂遊びと同じだよ。面白くなかったら、誰が研究なんてするもんか」
  • 学問の虚しさを知ることが、学問の第一歩です。テストで満点をとったとき、初めてわかる虚しさです。それが学問の始まりなんですよ。
  • 犀川は、自分の授業でも試験は一切しない。問題を解くことがその人間の能力ではない。人間の本当の能力とは、問題を作ること。何が問題なのかを発見することだ。したがって、試験で問題を出すという行為は、回答者を試すものではない。試験で問われているのは、問題提出者の方である。どれだけの人間が、そのことに気がづいているだろう。
  • 何か自分には納得のいかない現象を観察したとき、人間は二つのグループに分かれる。これは、犀川がよく授業で口にする二分法の一つだった。世の中には不思議なことがあるものだ、と鵜呑みにできる人種と、どうしても理屈が知りたくなる、解釈をしたくなる人種の二つである。

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