小説家・三浦しをん空学ぶ、人生の楽しみ方

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エッセー集から、心に残る部分をまとめました。

小説家・三浦しをんから学ぶ、人生の楽しみ方

ただ生きればいい。それだけ

  • 「遺伝子は、種の保存を最優先の使命にするようプログラミングされている」との言説をよく見聞きするが、それは本当なのだろうか、と。もし本当なんだとしたら、なぜ、生殖可能な年齢を過ぎたあとも、長い「老後」が残されているのか。犬だって猫だって、 さかりがついたときはそわそわするが、相手がいなければ「ま、しょうがない」と生殖しないままさかりの時期を終え、あとはぬくぬく居眠りなぞしている。べつに不満そうでもないし、「種を保存しなくちゃ」とあせっているふうでもない。
  • つまり、生き物はただ、各々の心の赴くままに、生きているだけなんじゃないだろうか、と思うのだ。そこに「種の保存」といった意味を見出そうとするのは人間だけであり、それはどんどん生き物の心理から遠ざかる行いのような気がしてならない。遠ざかるだけならまだいいが、意味付けをすることによって効率化がはじまり、「種の保存という遺伝子の大命題(私は、それはまちがっているんじゃないかと想うわけだが)に反するやつは、無意味かつ無用な存在である」という極論まで到達してしまうのではないかと、やや危惧される。
  • 私は、生殖年齢を過ぎても、なお淡々と生き、眠るように死んでいった祖母を、愛しいと感じる。もし、祖母が私の祖母でなく、生涯子どもを持つことのなかった老人だったとしても、その一生を尊いものだと感じるだろう。目に見えるなにかを生まないならば、そのひとの生は無意味だと断じるような、妙な考えには取り憑かれたくない。生きて死ぬ。生き物はそれだけで充分なのであり、「なにかをしなければいけない」といった考えからは完全に自由な存在なのであり、だからこそひとつひとつの生命が尊いのではないか。

態度で示そう

  • 話題がないときは「黙ってにこにこする」、相手がしゃべりだしたら「的確な相槌を打つ」。この二つを心がければ、会話は心地よく進行する気がする。 つまり、「あなたの話を聞きたいです」「あなたの話は大変興味深いです」と、態度で示すのが肝心なのだ。

一つエピソードを覚える

  • そのひとが話したなかでおもしろいと感じたエピソードを、次に会うときまで覚えていること。「前回の話を、ちゃんと聞いてくれてたんだ。よーし、もっと楽しい話があるんだよ」と、相手はまた張り切って話題を振ってくれるはずだ。

分かってもらえている

  • 私が自分なりに真剣に仕事に取り組んでいるのだと、ちゃんと知っていてくれる友だちがいる。その事実自体が、励みになり、支えになったのだ。

葬式で他人でなく、自分と向き合う

  • いまの私は、葬式を頭から否定はしない。見栄などの理由で形式にとらわれすぎるのは馬鹿げているが、形式がひとの悲しみや苦悩を緩和することもある、と知ったからだ。長年つづけられてきた形式には、己れの感情と正しく向き合うために有効な、先人たちの知恵と思いがこめられている。

自然体で年をとって楽しむ

  • お年寄りと接していると、ものすごくファンキーな発言や奔放な行動に驚かされることがあるが、年を取るとは、いろんなもの(恐怖や常識やしがらみなど)から自由になっていくことなのかもしれない。だとしたら、加齢は人間の精神にとって大きな救いだし、生命が本来持つ自由さを証す、希望とも言えるだろう。

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