敵と味方の区別がない、なめらかな社会

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なめらかな社会とその敵

ジョン・レノンは『境界のない世界』を夢想できただけだったが、鈴木健は科学によってそれを現実的に構築する方法を模索する。複雑性の思想から生み出されたいまもっとも可能性豊かな世界像。そのなめらかな社会をざっくりまとめました。

なめらかな社会

敵と味方の区別がない、なめらかなさ

  • 敵と味方を区別することほど、なめらかさに反する認識はないだろう。ベルリンの壁はその象徴的な建築物である。本書がなめらかな社会を目指すからには、敵と味方をなめらかにするという困難な問題にも挑まねばならない。カール・シュミットの主著「政治的なものの概念」は、政治という概念を「公的に敵と味方を区別すること」と定義した。この本でシュミットが明らかにしたのは、的という概念がそう簡単にはなくならないということである。

なめらかな社会の難しさ

  • この複雑な世界を複雑なまま生きることは、いかにして可能か。本書はこの問題を対象としている。
  • なめらかな社会の構想を批判することは容易だろう。なぜならば、これほどの大きなパラダイムの変化であるから、現実的な問題がいくらでも思いつくであろうからである。こうした問題のすべてに解決策を用意しうることは、著者の能力をはるかに超えている。

なめらかな社会という思考実験

自分を株化するという新しい世界観

  • PICSYという仕組みは、ひとりひとりが自分株を発行して、その自分株の金庫株で取引をしているのと同様である。自分株の所有関係は自分が誰に依存していまここに生きているかという情報であり、自分が誰を部分的に養っているかという情報でもある。さらにいえば、自分という存在の価値もまた、たくさんの人々の貢献によって今ここに成り立っている共有物であるという感覚が育まれるだろう。自分という存在が世界の中で同心円上に広がっているという感覚こそ、近代社会を超える新しい世界観なのではないだろうか。

個人の意見・考えを分割する分人民主主義

  • 近代民主主義が前提としている個人(individual)という仮構が解き放たれ、分人(dividual)の時代が始まろうとしている。人間の矛盾を許容してしまおう。そして、分人によって構成される新しい民主主義、分人民主主義(Divicracy=dividual democracy)を提唱することにしよう。
  • 二つの意見・考えがあった場合、どちらか一方のみを選び取ることは少ない。そこを、意見と考えを割合で示し、人を分けるということが文人という考え方である。

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