その辺の問題(中島らも×いしいしんじ)の書評・感想

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その辺の問題 (新潮文庫)

内容に入ろうと思います
本書は、共に作家であるいしいしんじと中島らもが対談をしているだけ(一度アムステルダムに、ソフトドラッグをやりに旅行に行きますけど)の作品です
対談してるだけなんですけど、この作品、ぶっ飛ぶぐらい面白いです。いやー、びっくりした。凄いなこの二人
中島らもについては、「らも 中島らもとの三十五年」という、中島らもの奥さんが書いた本を読んで、そのハチャメチャぶりは知っていました。こんなにムチャクチャなのに、よくもまあ生きてるなぁ、という感じです。アル中でクスリ漬けなんだけど、昔はサラリーマンもやってたし、演劇・音楽・小説ととにかく多彩。そんな人だから、まあメチャクチャな経験が山ほどある、っていうのは、僕にとっては意外ではないんです。いくつかムチャクチャなエピソードを抜き出してみましょう

『10年前、横浜でシタール買ったのが、最初。腹たったのは、中国の胡弓ってあるやろ。あれは皮が蛇なんやけど、検疫通るときに、皮だけ、ベリって、剥がされてもうた』

『(旅行先での恥のかき捨てについて)ものすごく、小便したくなったんや。運ちゃんに言うても、通じへんやろ。スーパーの袋持ってたんやね。そこいじょびじょびっとして、キュット口を結んで、降りて、どっかに置いてきた』

『(飼ってた犬をずっと散歩させないでいたら、隣の人が散歩をかって出てくれた)そやねん。そのうち、散歩帰りに自分の家にジャダを繋ぐようになって、その時間がどんどん長くなっていって、とうとう、取られちゃったんや。ジャダ』

『その点、やっぱり、猫と犬は、他の動物とは違うな。一度、猫をラリらしてみたんや(この話は、結末が凄すぎるので、自主規制)』

メチャクチャ意外だったのが、いしいしんじの方ですね
僕は今までずっと、いしいしんじって「優等生」のイメージだったんです。著者略歴を読んだ時点では、「京都大学文学部仏文学科卒」とか書いてあるから、うんうんやっぱり優等生なんだなぁ、と思ってたんだけど、これがまったく違う。中島らもに勝るとも劣らないムチャクチャな人でした

『ぼくはロンドンで牛食うてきました。今が旬ですから。狂牛病。空港で走り回って、ハンバーガー屋見つけて、「牛100パーか」「100パーや」「じゃあ、くれ」って。お客は「なんて勇気のある少年だ」言うて、全員立ち上がって拍手してましたよ』

『(ジャマイカで山賊に襲われた時の話)林に連れ込まれて、殴られて、血塗れになって逃げながら、財布から1枚ずつ、撒きビジみたいに、道に札を投げていったんです。最後の札がなくなったときに、山頂の別荘地に飛び込んで助かったんですけど、あのときはやばかったですね』

『現実のわけのわからなさって、やっぱり強烈ですよね。最近いちばん怖かったのは、家帰ったらね、イラン人が5人、勝手に上がり込んで、ビデオ見てたんですよ』

『(昔会社で働いてたけど)なんというか、特別学級扱い、みたいな感じで。営業とか、経理とか、ふつうの仕事じゃなくて、特別クラスみたいな部署つくってもらって、とりあえずなんかやってなさい、みたいな感じでした。だから、学生のときのまま、スクーターで会社行ったり、金髪に染めて、オフィスで朝まで酒飲んだり』

いやはや、いしいしんじ、凄いなぁ。元々「優等生」イメージを持っていただけに、本書で垣間見えるいしいしんじの姿には驚かされっぱなしでした。いしいしんじの小説って、どうも僕あんまり合わないんですけど、こんな人が書いてるんだってわかったから、ちょっとまた興味が湧いてきました。凄いなぁ、いしいしんじ

感想

あと、これは編集の妙と言っていいのか、よく知らない単語が出てきても、注釈とか入れない。これがまたいい。知らんプロレスラーの名前とか、知らんクスリの名前とかバンバン出てくるんだけど、全然説明されない。これがまたいい。もしこの作品に注釈とか入れちゃったら、この対談の勢いみたいなものが結構削がれちゃうだろうなと思う。冒頭も、1ページ目から対談がすぐさま始まって、この対談がどんな経緯で行われたのか、どんな風にやってたのかみたいな説明は全然ない。いきなり二人の世界に無理やり引きずりこんでいく。こういう本の作りも、とてもいいと思う。
狂った作家二人(褒めてます)が、ストッパーを外して(ないかもしれないけど、一般人から見たら十分外れてる)喋り倒している対談集です。読んでると、こんなムチャクチャな生き方しててもどうにかなるもんなんだなぁ、と思えると思うので、気持ちが沈んだ時なんかにも最適かも(笑)

その辺の問題 (新潮文庫)

その辺の問題 (新潮文庫)

  • 中島 らも,いしい しんじ

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