歯に衣着せぬ三島由紀夫の「人生と恋愛」「女性」「手紙の書き方」

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三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)

5人の登場人物がやり取りする手紙のみで表現された異色の小説。『レター教室』という題名の示すとおり、それぞれの手紙は「借金の申し込み」「身の上相談の手紙」「病人へのお見舞い状」などタイトルがつけられ文例としても使えるようになっています。
5人の書き手による違いはもとより、社交的な手紙から歯に衣着せぬ悪口の手紙まで各人が書き分けるスタイルは実に様々で、その中から、三島らしいと思った部分を、「人生と恋愛」「女性」「手紙の書き方」でまとめてみました。

人生や恋愛について

恋愛ができるということ

  • 恋愛というものは「若さ」と「バカさ」をあわせもった年齢の特技で、「若さ」も「バカさ」も失った時に、恋愛の資格を失うのかもしれませんわ。

他人は利害が絡む時にしか感心が持たないことを、腹の底から理解できるのか。

  • 世の中を知る、ということは、他人は決して他人に深い関心を持ちえない、もし持ち得るとすれば自分の利害にからんだ時だけだ、というニガいニガい哲学を、腹の底からよく知ることです。

感傷なんて若い子にしか似合わない。

  • 人間はいくつになっても感傷を心の底に秘めているものですが、感傷というのはGパンみたいなもので、十代の子にしか似合わないから、年をとると、履く勇気がなくなるだけのことです。

女性について(男尊女卑な三島らしさが出てます)

年を取った女性について

  • 自分のことばかりにかまけて、男をほめたたえる、という最高の技巧を忘れ、あるいは怠けているあいだに、手紙ひとつでそれほど青年の心を動かすことができるとすれば、女なら、同じ効果を出せるという自信を与えてくれます。でも、大ていの女は、年をとり、魅力を失えば失うほど、相手への思いやりや賛美を忘れ、しゃにむに自分を売り込もうとして失敗するのです。もうカスになった自分をね。 自分のことをちっとも書かず、あなたの魅力だけをサラリと書き並べた大川点助の恋文には、私たちは大いに学ばねばなりません。

自分と同じ様に、相手も関心を持つと思い込んでしまう。

  • 私たちには、何もそんな関心を持つ義務はないのだし、未知の人が死んでも生きても、別に興味はないのですが、彼女は、自分に対する熱烈な興味は、他人も自分も彼女に対して同じように持つはずだと信じている。

手紙の書き方

他人の歓心を得るのは難しいことを知ろう。

  • 手紙を書くときには、相手はまったくこちらに関心がない、という前提で書きはじめなければなりません。これが一番大切なところです。
  • 世の中の人間は、みんな自分勝手の目的へ向かってまい進しており、他人に関心を持つのはよほど例外的だ、とわかったときに、はじめてあなたの書く手紙にはいきいきとした力がそなわり、人の心をゆさぶる手紙が書けるようになるのです。

相手に余計な事を背負わさないように。

  • 招待を断わられた側に立ってごらんなさい。断わられた側にとっては、出席か欠席かの返事だけが大切で、それについて、もはや余計な感情の負担を負いたくないのです。人を招いた上に、断られて、そのうえ、何やかや感情に重荷をかけられては、たまったものではありません。こんな阿呆くさいことはありますまい。

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