「若くて保険料が安いうちに入っておいた方がお得ですよ」「途中でやめたら損」とは限りません!

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生命保険のカラクリ (文春新書)

「若くて保険料が安いうちに入っておいた方がお得ですよ」

就職したばかりの新入社員に対して、生保セールスがよく使う口説き文句です。これは本当なのだろうか?確かに、保険料は平準化して払うから若いうちに保険料を確定させたほうが、毎月払う保険料は安くなる。

しかし、保険会社が提供する保障については、それに相当する保険料を収受しなければならない。したがって、二十二歳で加入したときの保険料が三十歳で加入したときの保険料よりも安いのは、二十二歳から三十歳の八年間で、その分多く将来分の保険料まで払い込んでいるからだ。したがって、「若いうちに入ったほうがお得」ということはない。

もっとも、若いうちに加入しておくメリット、というものはある。それは将来、健康を害して、保険に入れなくなるリスクを回避することである。実際に社会人になって数年たったときに病気になってしまい、その後、結婚を控えても、子供が生まれても、生命保険に入ることができずに困っている、という人を何人も知っている。

とすると若くて、独身で、まだ多額の保険が不要な段階においても、「健康で、保険に入れる」という権利を行使して、将来に備えて生命保険に加入しておく方がよい、という考え方は十分に成り立ちうる。そしてこの限りにおいて、「保険には、若いうちに入っておいた方がいい」といえます。

「生命保険は解約すると損ですよ」

について。これは、(バブル期に加入した予定利率が高い契約を除いては)生命保険の多くの商品で、「早期解約ペナルティ(業界用語では「解約控除」)」ともいうべき条項が盛り込まれていることが主な理由である。

生命保険会社は、自社の営業職員や代理店などに対して、契約が成立すると一括して成約手数料を支払うなどしており、新契約獲得にかかわる費用が非常に大きい。契約から五年、十年と長期にわたって保険料を収受することで、この費用を回収していく。つまり契約初期に大きなコストが生じ、これを長期の契約期間にわたって回収していくというビジネスモデルなのである。

だからこそ、大きな契約獲得費用を払って獲得した契約を早期で解約されると、保険会社側には「損」が発生してしまう。その損について、契約者に負担を求めるのが、「解約控除」と呼ばれる解約ペナルティである。しかし、このような制度は、はたして公平といえるのだろうか。

生保に限らず、一般に、長期の金融商品(たとえば五年、十年の定期預金商品など)について満期前に解約をした場合に、一定のペナルティを取られることはよくある。これは、銀行側が長期に固定された資金を借りることによって、より高い金利を支払うことが可能になるからである。銀行が長期の運用を前提として高い金利を払っていると考えれば、契約者側に早期解約による損失を一定程度、負担してもらうことは妥当かもしれない。

これに対して生保の場合は、銀行のような運用面ではなく販売面の話であり、営業職員や代理店へのコミッション(成功手数料)をどのように支払うかは、保険会社と売り手の力関係いかんによって決まる。

この解約控除制度については、保険会社からみれば、「新契約にかかった費用を確実に回収する」という合理性を持つが、加入者側からみると、生命保険会社側が自らの判断によってコストを前倒しで使っているにも拘わらず、その回収リスクの一部が加入者側に転嫁されるという不合理な仕組みだとする指摘もある。

もっとも、この解約控除も、典型的には十年も経てばコストは回収されるため、消滅する。したがって、十年以上経過した契約は(過去に高い予定利率を保証する契約でなければ)、「解約すると損」ということがあてはまらないことになります。

感想

保険の裏側が知れるのでめちゃくちゃおもしろい。保険会社が儲かる理由までわかる。いい本です。

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