つながりを考える本。君に友だちはいらない(瀧本哲史)の書評・感想

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君に友だちはいらない

内容に入ろうと思います。
本書は、グローバル社会の中で、コモディティ化から抜け出して生き抜いていくために、「どんな風に仲間を作っていったらいいのか」を具体的に提示するビジネス書。なのであるが、ただのビジネス書ではなく、本書は、「仕事だけに限らず、どう生きていくか」を問いかける作品だと僕は思う。
世の中が大きく変わっていることは、様々な人が感じていることだろうと思う。いつの時代もそうかもしれないが、今の世の中もまさに、「それまであった常識が通用しない社会」になってきている。しかも、恐ろしいまでに急速に。

『少し前の日本の企業では、一度採用されたら定年まで勤めるというのが当たり前とされていたが、今やそんな会社はごく一部の古い大企業だけだ。誰もが生き残るためには、自分でポジションを探さなければならない時代に、とっくの昔に突入しているのである』

『成功するかどうか事前には誰も分からない。「冒険」に出たものだけが、大きな果実を手にすることができるというのは、大航海時代と何も変わらない。それは情報革命によって21世紀に初めて日本に上陸した”むきだしの資本主義”の本質なのである』

本書には、そういう社会の中で、「どう働いていくべきか」ということが具体的に提示される作品だ。もっと言えば、「どうやって同じ目的をもった仲間を見つけ、さらにその中で自分の脳力を発揮していくか」について書かれている作品である。

『常に複数の緩やかなつながりを持った組織に身をおき、解決すべき課題を見つけて、共通の目標に仲間とともに向かってくこと。
これがグローバル化が進展する時代に、人々が幸福に生きるための基本的な考え方になるはずだ』

僕が提案したいのは、本書をビジネス書としてではなく捉えることだ。ビジネスに限らず「やりたいことを実現するための手段を提示してくれる本」と捉えれば、本書は非常に有益なものとなるだろうと思う。

『夢を語り合うだけの「友だち」は、あなたにはいらない。
あなたに今必要なのは、ともに試練を乗り越え、ひとつの目的に向かって突き進んでいく「仲間」だ』

本書は、この結論を読者に納得させるための、長い長い説得の過程と言っていいかもしれない。

著者は、「人への投資」で、ビジネスの世界で成功を収めてきた。著者の本業は「エンジェル投資家」である。これは、まだアイデアと創業者しかいないような、会社の体を成していないような状態のプロジェクトに投資する人であり、バクチ的な要素がかなり強くある。その中で成果を出していくためには、人と関わり人を見抜く力を卓越させる必要があった。

『仲間づくりをテーマとする本書を私が書けるのもそれが理由である。私はこれまでずっと「人」を観察し、どういう「チーム」であれば成功できるのか、身銭を切って学んできたのだ。』

『やりたい仕事、属したい組織がなければ自分でつくるしかない』

『だからそれを防ぐためにも、ときどきは自分の持つ「モノ」や「知識」を手放したほうがいい。これは勇気がいることだが、「持っているものが多いこと」が貴いのではなく「必要なものが少ない」のが貴いのである。仲間についても同じだ』

『つながっている人が自分を規定する』

『「自分はこんなところで働き続けていいのか」「本当に自分が夢中になれる仕事はどこにあるのか」などと「自分探し」をしているヒマがあるならば、たとえ夢物語のような目標と周囲にバカにされようとも、大きなビジョンを掲げてそれに向かって進みはじめるほうが、ずっと現実の自分を成長させるのである』

感想

本書で著者が提示する「現実」は、とても厳しい。僕なんかは、「あーこんなしんどい世の中からは逃げたいなぁ」なんて思ってしまうダメ人間だけど、やる気に満ちた人間には逆にワクワクさせられる希望に満ちた世の中になっていくことだろうと思う。これまでは、「若いから」「経験がないから」「前例がないから」という理由で出来なかった様々なことが、「若いから」「経験がないから」「前例がないから」というまったく同じ理由でチャレンジしがいのある目標に変わっていくのだ。それはメチャクチャ楽しいだろう。そういう、これからの社会で活き活きと輝くための可能性を提示してくれる作品だ。若者に可能性がある社会というのは、希望に満ちているといえるだろう。そういう意味で、希望を感じさせてくれる作品だ。

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