敬語と歴史が一番本で面白いけどあえて「敬語」の基本を紹介しちゃいます!

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ちゃんと話すための敬語の本 (ちくまプリマー新書) [kindle版]

三種類の敬語

敬語には、「尊敬」と「謙譲」と「丁寧」の三種類があります。「尊敬」ばかりが敬語ではありません。

「尊敬の敬語」は、自分よりワンランク上の人に使います。「先生がいらっしゃった」とか、「先生がおっしゃった」が、「尊敬の敬語」です。自分よりワンランク上の人がなにかをしたら、その動作を特別な言葉によって表現します。

「謙譲の敬語」というのは、その逆です。相手より、自分がワンランク低いのです。だから、ワンランク上の人の前で、自分のしていることを謙遜して、特別な言葉で表現します。

普通だったら「知らない」ですむところを、相手がえらい人の場合には、「存じません」と言います。その「存じる」が、「謙譲の敬語」です。普通だったら、「来たよ」ですむところを、自分がえらい人のところへやって来た場合には、相手に対して「参りました」と言います。その「参る」が、「謙譲の敬語」です。もっとクラシックな言いかたをすると、「参上」です。

よく壁に、自分のチームの名前を書いて、その後に「参上!!」をくっつけている落書きがありますが、「参上」というのは、「えらい人のところにやって来る自分をワンランク低いものにして使う謙譲の敬語」です。壁に「参上!!」と書くとカッコよく見えますが、意味は、「みなさんのところにやってまいりました」です。忍びの者も、やって来た時には「参上」と言いますが、越後屋の番頭がやって来た時も、「参上いたしました」と言います。

自分ではカッコつけているつもりなのに、じつは、頭を下げてへりくだっている。「謙譲の敬語」がそういうまちがった使われかたをしてしまうのは、現代で「自分をワンランク低いものと思う」という考えかたが、あまり一般的ではなくなっているからです。

「あの人はえらい人だ」ということは、まだわかります。だから、「尊敬の敬語」は、そんなにもまちがえません。でも、「あの人はえらい人で、自分はその人よりワンランク下だ」という考えかたは、あまりしないでしょう。そういう考えかたをしていると、「卑屈になるな」と言われてしまいます。現代では、「自分をワンランク下げる」ということがあたりまえではないので、「謙譲の敬語」がまちがった使われかたをしてしまうのです。

「尊敬の敬語」と「謙譲の敬語」は、相手をワンランク上の人と考えますが、もうひとつの「丁寧の敬語」は、そうじゃありません。「丁寧の敬語」は、ワンランク上でもワンランク下でもなくて、ただ「ていねい」なのです。

「存じません」とか「参りました」とか「参上しました」は「謙譲の敬語」ですが、でも正確には、上半分だけが「謙譲の敬語」です。「存じません」「参りました」「参上しました」の下の方は、「丁寧の敬語」です。ふつうに「知りません」と言ったら、そこには敬語がないように思われますが、「ません」は、否定形になった「丁寧の敬語」なのです。

「YES」の意味で、相手の言ったことに対して「そう」と言ったら、ここには敬語がありません。でも、「そうです」と言ったら、ここには「丁寧の敬語」があります。ふだんはあまり意識しないかもしれませんが、言葉の最後につける「です」とか「ます」というのは、「丁寧の敬語」なんです。

来た」だけでは、敬語がありません。「来ました」になると、「丁寧の敬語」がつきます。たとえば、自分が職員室に呼ばれて、職員室にいる先生に「来ました」と言ったら、それは、先生に対してていねいに言っているのです。ただていねいに言っているだけで、べつに先生を「ワンランク上の人」と思っているわけではありません。先生を尊敬しているわけでもありません。もちろん、バカにしているわけでもありません。「丁寧の敬語」は、そういうこととは関係なくて、ただ「ていねい」なのです。

「参りました」は、「謙譲の敬語+丁寧の敬語」です。あなたが職員室に呼ばれて、そこにいる先生に「参りました」と言ったら、それは、「職員室」という特別なところの神聖さを理解して、そこにいる先生を「自分よりワンランク上の存在」だと思って、「ここにやって来た私はワンランク下の存在です」ということを表現して、しかも、そのことをていねいに言っているのです。

「参上しました」だって、もちろんこれとおんなじで、「謙譲の敬語+丁寧の敬語」です。たとえば、授業が始まるチャイムが鳴りました。あなたは、教室の入り口に立って、廊下を見ているとします。廊下を先生がやって来ます。それであなたは、教室の友だちに、「先生がいらっしゃいました」と言います。「いらっしゃいました」は、「尊敬の敬語+丁寧の敬語」です。

あなたは、やって来る先生を「ワンランク上の人」と思って、「いらっしゃる」という「尊敬の敬語」を使いました。そして、ワンランク上の人がやって来ることを、クラスの友だちに、ていねいに言ったのです。もしもあなたが、先生を「ワンランク上の人」と思っても、クラスの仲間に対してべつにていねいになる必要なんかないと思ったら、「先生がいらっしゃった」だけでOKです。まちがいではありません。以上が、「敬語の基本」です。

要点

①敬語には、「尊敬の敬語」と「謙譲の敬語」と「丁寧の敬語」の三種類がある。
②「尊敬の敬語」と「謙譲の敬語」は、自分よりワンランク上の人に使うが、「丁寧の敬語」は、相手のランクとは関係がない。
③「丁寧の敬語」は、「尊敬の敬語」や「謙譲の敬語」とドッキングして使われることが多い。

以上が「敬語の要点」です。でも、これだけではなんの役にも立ちません。

感想

敬語の歴史が詳細に記されています。歴史好きな人、雑学好きな人に超おすすめ!

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