考える人 2013年夏号の書評・感想

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考える人 2013年 08月号 [雑誌]

「数学は美しいか」

そんな問いかけに対して、本書にはこんな文章がある。

『数学は美しい、美しければ愉しい。数学の美しさは、人間の考えの美しさだよね。絵画の美しさは感性だし、小説の美しさは人間性だけれど、数学というのは、理性の美しさだと思う』

『音楽や絵画の美しさは分かりやすい。美しい音色を耳にすれば思わず心が踊るし、美しい色彩を前にすれば目も嬉しい。ところが、これが数学となると、そうは行かない。美しい論文を前にして、素人が思わず息をのむなんてことは、まずない』

「考える人」という雑誌は、様々な広い意味での「思想的なもの」を取り上げる雑誌、という漠然とした印象しか持ってないのだけど、ある号(これは現時点での最新号ではない)の特集が「数学は美しいか」だったので、これは買うしかないと思って買ってみました。というわけで、時間もなかったので、この雑誌の特集の部分しか読んでいません。それ以外の部分はまた時間がある時にでも。
さて、100ページ弱ある特集で、どんなものが取り上げられているのか、ざっと書き出してみます。

円城塔へのインタビュー
伊東俊太郎へのインタビュー
人工知能と数学
渡しが世界で一番美しいと思う数式・証明
岡潔について
筑駒中高数学科研究会の活動
超難問を解いた天才数学者たち
東大の入試問題は美しい
日本の和算の結集:算額
東大折り紙サークル:Orist
数学本の案内
テレンス・タオの素数研究

取り上げられているすべての内容に触れたわけではないけど、大体このような感じの特集内容になっています。円城塔がどうして?とか、折り紙って数学なの?とか、算額って何?みたいなことを思う方もいるかもしれませんね。

『数学者は紙と鉛筆さえあればいいというのは間違いで、ほかに図書館と旅費は必要なんです。今、大学改革で「紙と鉛筆があればいいんでしょう」という扱いを受けて、えらい目に遭っていますけれど。』

円城塔は、「一般の人の数学者へのイメージ」を補正しつつ、20世紀の数学を先導したヒルベルトとコルモゴロフの二人の数学者について話をします。

『物理だと物理の全文やを知らなくてもなんとかなりますが、数学者は、得意不得意はあっても基本的には数学のすべてが分かっていて、筋道さえ踏めればどんなものでも理解する仕組みができているものなんだと、はっとしました。専門が枝分かれしても、その間をつなぐ作業も頻繁に行われている』

『数学者は、生涯、ひとつの分野で定理の証明に身を注ぐというようなイメージがあります。でもそれは違います。孤独に作業して誰も読まないような論文を書いているというシステムはありえません。お互いに情報交換をしながら、意味のある活動を繰り広げ、それなりの成果もちゃんとアウトプットしていくという業界なんです』

『だから閉じこもって一人でこつこつできた人は、ほとんどいません。このような奇抜なエピソードの持ち主はほんのひと握りです。全員がそんなわけないんです。まず生きていくために環境を整える必要があるし、仕組みをきちんとまとめなければならない』

円城塔のインタビューのタイトルは「天才数学者は、変人とは限らない」である。数学者の伝記などは、やはりどうしても、ひと握りの超絶的な変人ばかりに目が向く。ガロア、ラマヌジャン、ペレルマンなどなど。しかし円城塔は、それは圧倒的少数派だという話をする。そしてその流れで、ヒルベルトとコルモゴロフという二人の「常識的な天才数学者」の話をする。

感想

記事によって僕自身の興味の向き不向きがあり、全部が良かったわけではないけど、全体的にとても面白い特集でした。やっぱりどうにか、数学の世界に入り込みたいなぁと思うのだけど、障壁が高すぎて辛いです。とにかく今は、算数からちょっと勉強しなおして、少しずつ入り口に近づいて行こうと思っています。

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