イノベーションが起る現場を具体的にイメージできる、本当の本質がまとめられた一冊

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イノベーションの本質

書籍概要

この本は、イノベーションの本質について、本田の「アコードワゴン」やサントリーの「DAKARA」、日清食品の「具多GooTa」、更には「黒川温泉」や映画「千と千尋の神隠し」など、近年世間を賑わした13の大ヒット商品が生まれた過程をもとに説明されています。これらの商品が生まれた現場を詳細にリポートし、誰の隣にもいるであろう、ごく普通の社員達が成し遂げたイノベーションの本質と、それを支えた企業風土を分かりやすく解説しています。

サントリー「DAKARA」の事例

商品開発においていかに顧客との共感を呼ぶコンセプトを生み出すかが、ヒットの成否を左右する時代になったことを如実に物語る。日本の飲料業界の市場規模は4兆5000億円(ビール・発泡酒に並ぶ巨大市場)であり、毎年1,000もの新アイテムが生まれるが、翌年まで残るのは3種類程度という厳しい市場である。

ポイント① 『ブランドに”血液”を流し込むため各部門が”同じ舟”に乗る』

・コンセプトこそブランドの命
・スタート時から異業種の人間が、「同じ舟」に乗る必要がある

ポイント② 『「3つの”ない”の掟」でチームに行動規範を示す』

・「むやみにネーミングを考えない」
・「むやみにデザインを考えない」
・「むやみに中味をつくらない」

ポイント③ 『調査データに頼らず「人」を見る』

「自分たちは調査に依存せず、現場の人間を重視する」という考え。これは商品開発において何に価値を置き、どこに目を向けるのかという、チームとしての価値観を示した。商品づくりは人を見るところから始まる。

※事例「日記調査」 ⇒「ポカリやアクエリアスをいつ飲むか?」という質問をすると・・・
・一般的な定量調査 ⇒ 「スポーツ時/スポーツ後」が76%を占めていた
・サントリー日記調査 ⇒「スポーツ時/スポーツ後」は18%、二日酔いのときや仕事の合間の方が圧倒的に多かった

ポイント④ 『「表コンセプト」のウソをあばき「真のコンセプト」を探り出す』

発想を切り替え、開発テーマは・・・

・4年前 ⇒「表コンセプト」
「ポカリ・アクエリアスに替わり、水分補給性に優れ、現代人の味覚にマッチした本格的スポーツドリンク」
⇒1日でできる。ただ、誰も否定しないかわり、誰も買わない。

・最後には ⇒「真のコンセプト」
「ちょっとツライとき、不摂生不規則な生活から現代人のライフを守ってくれる、ちょっと頼りになるカラダ・バランス飲料」
⇒3つの掟を掲げ、顧客の生活感を実感しながら、表コンセプトのウソを暴いて見つけ出したもの。

※『「相対価値」より「絶対価値」を重視する』
「競争に勝つ」という相対価値の追求は、勝った時点で消える可能性がある。これに対し、絶対価値の追求の根底にあるのは、「自分たちは何のために存在するのか」という根本的な問いかけであり、普遍性を持って未来へとつながっていく。

ポイント⑤ 『「型」の継承(トランスファー)がもたらす成功の連鎖』

「サントリーの商品開発の型」
1.ブランド開発に「掟」を設ける
 ⇒「コンセプトを決めるまでは手を動かすな」
2.キレイなコンセプトを疑う
 ⇒形式知ベースの「表コンセプト」から、暗黙知ベースの「真のコンセプト」を構築する
3.顧客と文脈を共有できる「場」を求める
 ⇒「真のコンセプト」を探すため、現場に飛び出し「人間」を徹底的に見つめる
4.メタファー(隠喩)やアナロジー(類推)の活用
 ⇒「真のコンセプト」にたどり着くためにメタファーの力を借りる

感想

この本のイメージをお伝えするのに、サントリーDAKARAを取り上げましたが、上記のまとめをご覧いただいたように、この本はイノベーションに関する学術的考察が中心ではなく、その場で働いている人の仕事や行動がイメージできるような内容となっています。

イノベーションについての書籍はたくさんあり、例えば、どの本にも「コンセプトが大切」と書かれているかと思いますが、どのように大切にするか解説されている本は少ない気がします。しかし、この本は、コンセプトを大切にするために、その会社にはどのような掟(ルール)があり、どのような体制(人材配置)で仕事をしているか、現場がイメージできるレベルで解説されています。

最後、個人的な感想としては、イノベーションは、本当に泥臭いプロセスから生まれるものだと感じました。マーケティングや商品開発担当の方、そして経営者、経営陣にもおすすめの一冊です。

イノベーションの本質

イノベーションの本質

  • 野中郁次郎,勝見明

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