ゲームをやると、子どもたちは本当に犯罪に走りやすくなるのか??ハーバードでの研究

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ゲームと犯罪と子どもたち ――ハーバード大学医学部の大規模調査より

1.科学的根拠のないゲーム批判

・暴力シーンに関するデータはテレビに関するもので、これをもって暴力ゲームの暴力の肯定性についての根拠にはできない

・銃乱射事件よりも落雷で死ぬ確率のほうが高い

・少年事件や校内暴力は90S以降、激減している

・学校銃撃事件では、暴力的ゲームに興味をもっていたのは8人に1人、暴力映画に興味をもっていたのは4人に1人に過ぎないとするアメリカ合衆国SSの見解がある

・ゲームは社会性を喪失し孤立するものではなく、複数のプレイヤーが参加する極めて社会的な行為

・娯楽ソフトウェア評価委員会の担当者は実際にゲームをちゃんとプレイしておらず、ゲーム会社の提供する映像を観ているだけ、また過去には専門知識のないアルバイト程度の者に評価作業をさせていたことが求人情報から発覚

2.新しいメディアはいつの時代も非難の的

18C~印刷技術の発達により大衆にも小説が普及
→それまで批判の対象にならなかった小説、舞台が非難の的に

3.過去の研究データの正しい読み方

・なぜ専門家の意見は一致しないのか?
多くの研究がなされているので、ゲームと暴力の関係は明らかになってもいいはずでは?
→実際には極めて複雑で、それほど歴然としない

・青少年犯罪の減少
刑事政策の転換や、社会状況の変化
→黒人の貧困層の青少年犯罪や、マリファナの所持者逮捕の増加、DVの犯罪化、未成年の飲酒などの身分犯罪の非身分犯罪化

犯罪の見かけの増加と、実質的減少があっても、ゲームの人気の高まりとの因果関係を主張した専門家の理由説明や意見撤回はない

・データのトリック
測定基準があいまい→プレイ時間や年数、暴力的の定義など
暴力的であるから暴力メディアを見るのか、暴力メディアを見るから暴力的になるのか
喫煙による癌の発症は癌細胞の存在によるが、攻撃的な精神は一時的なもの

・専門家の経歴や自分の受けた専門教育の違い
グロスマン『戦争における「人殺し」の心理学』→自身の軍隊経験に基づく
アンダーソンら→小遣い稼ぎの大学生の被験者を使った実験室での実験

・ゲームが描く暴力の量と種類
聞き取りか、ノートに書くか、訪問して確認するか
ゲームの流れはプレイ次第で変わる
人間もしくは人間の形をしているものへの暴力のみか、それ以外を広く含むか
もし利用するだけで悪影響があるなら、大半の青少年は異常ということになる

・攻撃性の定義と測定方法
攻撃性と暴力性をほぼ同義と考える研究者もいる
→攻撃性は自己顕示欲の顕在化行動としており、暴力的でないこともある
多くのメディア暴力研究では、攻撃性の一面しか結果として得られていない

叩くと倒れるが、すぐに自然に起き上がる人形を殴る実験
→人形を殴ること以上の攻撃性は不明

ノイズブラスト(敵に競争で勝つと、こちらが設定した音量の音を相手に聞かせるというゲームでどの程度の音量を設定するかを測定する実験)
→音を聞かせることが物理的暴力?

指定のゲームを実験室で短時間⇔自分で選ぶゲームを友人と家で長期間
直前の心理状況の違い

・子供の頃に受けた影響が成人する頃にどうなるか
→暴力事件を起こす者は、子供の頃暴力的でなかった者もいる

・聖書における暴力を肯定する神の描写を読むと、攻撃性が増すという実験
→聖書を読むべきではないということになるのだろうか、芸術的価値や教訓などもある
 大半の人にとって有益でも、暴力行為を行う集団にとって悪影響を与える

4.~9.略

感想

アメリカでは検閲があり、実は表現の自由を重視している国と思われがちである一方、日本以上に暴力表現・性表現・宗教などに対する規制が厳しく、マンガやゲームなど日本での発売内容と変更が加えられていることがよくある。
しかしこの、ゲームやマンガで暴力表現を観る子どもたちは、自身の人格も暴力的になっていくという論については、明確な根拠のある論証はされていない。その点を本書は明らかにしようとしている。
そこにあるのは、親たちの漠然とした不安、メディアによる銃乱射事件等の社会問題的事件の報道、政治家の思惑、犯罪研究者への利益供与など、純粋な根拠とは違ったそれぞれの要素がある。
日本でも、いわゆる有害図書規制について色々な議論を呼んできているが、これといった根拠がないままに規制がなされてきているのが現状で、果たして本当に、暴力表現や性表現が少年犯罪と因果関係があるのか、疑問を感じるところである。

ゲームと犯罪と子どもたち ――ハーバード大学医学部の大規模調査より

ゲームと犯罪と子どもたち ――ハーバード大学医学部の大規模調査より

  • ハーバード大学医学部ローレンス・カトナー博士

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