今日本酒はすごい! 注目される「新世代日本酒」

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新世代日本酒が旨い 角川SSC新書 いま飲むべき全国の36銘柄

概要

従来の渋いイメージとは違う、フレッシュでフルーティな「新世代日本酒」が業界で話題となっている。その魅力を紹介し、著者お薦めの銘柄をリストアップ。

実は、いま「日本酒」はすごいことになっている

■銘酒居酒屋や小売店の店主、造り手の蔵人が「今の日本酒は歴史上最高の味」と口をそろえる。具体的には「フレッシュ、フルーティーでほのかな甘さと香り、さわやかな酸味。雑味が少なくきれいな味わい」の酒だ。なぜいま日本酒が美味しいのか。

■まず60~70年代の地酒ブームによる個性的な地酒や蔵元の出現が背景にあった。加えて近年は杜氏・醸造技術の進歩やコンピュータ制御による緻密な製造管理、異業種経験者の参入による刺激があり、日本酒のレベルアップを実現したのだ。

■とくに注目すべき県は以下の5つ。
1 山形=吟醸酒のレベル向上が著しい。各蔵のデータをオープン化する工夫も
2 福島=山形の隣接県。切磋琢磨してレベルを上げる
3 秋田=酒造りの責任者が個性的
4 静岡=20数年前のブレイクをきっかけにスター級の酒造が生まれる
5 新潟=淡麗辛口の伝統を生かし新たな方向を模索

いま最高の「新世代日本酒」ガイド

■著者お薦めの新世代日本酒を列挙する。特に◎は初心者でも美味しいと分かる、入門者に最適の酒だ。

◎豊盃(青森)/ラベルを隠して飲ませると「どこのワイン?」と言われる。リンゴ、イチゴのような香りがたち、口に含むと柔らかな甘さが出る。この蔵の特徴は水のよさ。

◎雪の茅舎(秋田)/杜氏の高橋藤一氏に尽きる。ベテランだが、軽快で柔軟な発想の酒。伝統的な造り方の山廃でさえ、この蔵の場合は癖がなくきれいに切れる。

◎十四代(山形)/以降の日本酒に多大な影響を与えた濃醇甘口。品のよい甘みで誰もがファンになる。ネーミングや商品展開は元百貨店の杜氏・高木顕統氏の経験が生きた。

◎上喜元(山形)/美山錦や亀の尾はじめ20種に及ぶ酒米を使用。しっかりとした酸を生かし、飲み飽きしない酒を目指す。すべての酒が、酸のある食中酒として最適。

◎飛露喜(福島)/「酒の旨味ってこういうものか」と誰もが思う、わかりやすいうまさが特徴。フルーツ様の香りがあり、スッと切れる。透明だが味のある濃醇甘口。

◎磯自慢(静岡)/フレッシュ・フルーティーな酒といえばここ。甘い香りが持続しきれいに切れる。初心者はぜったい飲むべき。全国の蔵がここを目標にしている。

◎開運(静岡)/どのタイプも飲み口がきれいで、五味(甘辛渋酸苦)がふくらみ切れもいい。さわやかですっきりとした酒質を造る「静岡酵母」の開発にも大きく寄与した。

◎醸し人九平次(愛知)/パリの三ツ星レストランのメニューリストにも載る。果実のような香りとしっかりとした旨味、爽快な喉越し。一番似ている酒は「白ワイン」だろう。

ほかお薦めの酒として
田酒・喜久泉(青森)、竿灯・ゆきの美人、白瀑、天の戸(いずれも秋田)、伯楽星(宮城)、郷乃譽・山桜桃・花薫光(茨城)、四季桜(栃木)、琵琶のさゝ浪(埼玉)、天青(神奈川)、御湖鶴(長野)、村祐、鶴齢(いずれも新潟)、喜久酔、臥龍梅(いずれも静岡)、而今(三重)、満寿泉(冨山)、早瀬浦(福井)、蒼空(京都)、秋鹿(大阪)、奥播磨(兵庫)、風の森・鷹長(奈良)、諏訪泉(鳥取)、富久長、宝剣(いずれも広島)、東洋美人、獺祭(山口)、悦凱陣(香川)、東一(佐賀)

これだけ知っていればもう日本酒通

■日本酒造りの基本は「米のでんぷんを麹によって糖化し、それを酵母によって酒にする」。精米・洗米後に水を吸わせ、糖化しやすいよう米を蒸す。蒸米に種麹をかけて麹を育成。酵母を加えて酒母を造り、三段階の仕込を経てもろみができる。最後に上槽(=搾り)を。

■日本酒のラベルに記載されている用語も、知っていると役に立つ。
(1)酒造好適米
芳醇な香りと濃醇な旨味のバランスに優れる山田錦や、端麗辛口の五百万石、口当たりがよくあっさりとした美山錦と、使う米によりおおまかな傾向がある。

(2)製法品質表示基準
純米大吟醸、純米吟醸、特別純米、純米、大吟醸、吟醸、本醸造、醸造ほか普通酒に分かれる。一般的に、精米歩合が高い「純米大吟醸」「大吟醸」はすっきりしてフルーティー感が強い。が、銘柄により差が大きく、必ずしも味を保証するものではない。

(3)その他
生酛=酒母造りの際に自然の乳酸菌を取り込む。濃厚な辛口に
あらばしり=搾ったとき最初のほうに出てくる酒。炭酸が残りフレッシュな味
滓がらみ(おりがらみ)=旨味が残る「滓」をあえて漉さずに瓶詰め
原酒=通常行う「加水」をしない
ひやおろし=春の新酒に一度火入れし、夏熟成させて秋に出荷する酒

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