風の帰る場所(宮崎駿)の書評・感想

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風の帰る場所―ナウシカから千尋までの軌跡

宮崎駿が引退を表明した。
僕はそれまで詳しく知らなかったのだけど、宮崎駿の引退表明というのはもう過去何度もあったようで、「またかよ」という感じの人も多いようだ。本書を読んで、もう25年も前から引退のことをずっとほのめかしていて、それを知って僕は、なんというか「お疲れさん」という気持ちになった。
また僕は最近、「風立ちぬ」を観に行った。表明通りであれば、宮崎駿の最後の作品ということになるだろう。
そういうタイミングで本書を読むというのも、なかなかいいのではないかと思ったのだ。
本書の発行は2002年で、恐らくもう普通には手に入らない本だろう。本書は、渋谷陽一氏による、宮崎駿のインタビュー集であり、一番古いものは1990年に行われたものだ。「Cut」と「SIGHT」という雑誌に掲載された全5本のインタビューが収録されている。雑誌掲載時には泣く泣くカットした部分も全部収録されているのだという。
本書はとにかく、宮崎駿の言葉が非常に面白い。だから今回は、引用だけで感想を終えてしまおうと思う。

「紅の豚」

『どういう題名にするかっていうときに、赤豚ですからね?赤い飛行艇に乗ってるから赤豚野郎って呼ばれてるわけですから、これはもう豚にしようって。企画書を作ってる段階ではですね、三分の二ぐらい冗談だったんですよ(笑)。なにせ日本航空に出すんですから、流れて元々っていうか、流れたほうがいいんじゃないかって思ったりなんかしながら作った企画書ですから、もう避けてもしょうがないし『紅の豚』にしようっていうね。『赤い豚』ってより”紅”のほうがもっともらしくて冗談ぽいからいいじゃないかっていう』

『それもだから、初めからプランがあったわけじゃなくて、やっていくうちにスタッフから疑問が出てくるわけですね、『豚はなぜ前は人間だったんだ?』って。人間だったっていう絵コンテをきったときは深く考えてないんですよ』

『『紅の豚』を作らせたのは違うんですよね。あれはあんときの世界情勢、湾岸戦争です。やっぱりユーゴスラビアのことが大きかったですね。それはソ連の崩壊よりも大きかったです。こりゃあ人間は学んでないなっていう(笑)。案の定やっぱり学んでないんですけどね』

『それでも『豚』はまっいったですねえ、終わってからずーっと尾を引いてて。とんでもなくくだらないものを作ってしまったって(笑)。いや、ちょっとね、ほんとにやっちゃいけないことをやってしまったなっていう想いがずーっとありました。だから、『豚』に関しては『もののけ姫』を作ってようやく少し楽になってます。まあ、あんなようなやつでもやれてよかったとは思いますけど』

「風の谷のナウシカ」

『元々『ナウシカ』っていうのは、映画にするというスケベ心が起こらないように描いたんですよね。映画やアニメーションをやってたらできないようなことをやらなければ、わざわざコミックを描いている意味がないとおもったから、自分がこういうものはアニメーションになるまいって考えた世界をやったんです』

『ただ僕は、あのとき映画の最後の大ラストのところで絵コンテが進まなくなっちゃったんですよ。なぜ進まないかっていったらね、王蟲を一匹も殺したくないんですよね。『もう殺したくない!人間は殺しても王蟲は殺したくない』っていう気持ちが強くて(笑)』

「となりのトトロ」

『僕は『となりのトトロ』を作ったときに『ああ、一通り作ったな』って思ったんです、四角になったというかね(笑)』

感想

もっともっと引用したい部分はたくさんあったのだけど、時間の制約もあってこのぐらいで。やはり宮崎駿という人は、なかなか興味深いし、表現者として素晴らしいなと思います。そこまでちゃんと、ジブリの映画を見てきたわけでもないんですけどね。

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