日本を滅ぼす<世間の良識>(森巣博)の書評・感想

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日本を滅ぼす〈世間の良識〉 (講談社現代新書)

本書は、オーストラリア在住の博打打ちであり作家でもある著者による、『日本って国はこんなにヤベェよ。それに気づかないあんたらも相当ヤベェよ』というような内容の作品です。ちょっとこの僕の要約は意訳しすぎているかもしれないけど、大体そんな感じということで。
本書は、クーリエ・ジャポンで連載されていたものを書籍化したものです。
当初書籍化する際著者は、『おとーちゃんばかりがお饅頭を食べる思想』というものを提案したそうなのだけど、新書向きではないという理由で却下されたようだ。これは要するに、『利潤の私益化・費用の社会化』ということであり、もっと平たく言えば、『良いところは全部おとーちゃん(権力を持つ側)がもらうから、あと尻拭いよろしくね~』ということである。
今の日本は、これがいたるところではびこっている。そして国民は、それに気づかないか、気づかないフリをしているか、どうでもいいと思っているか、どれかである。
というような感じで内容に触れていきたいのだけど、本書は、『おとーちゃんが~』というようなベースとなる部分は共通しているものの、書かれている内容は多岐に渡り、しかも著者の思考もどんどんあっちこっち飛び火していくので、ざっくりと内容紹介をする、ということが難しい作品です。というわけで、具体的に詳細に触れるのは後回しにして、まずは本書では、どんな話題が出てくるのかというのをざっと書いてみようと思います。

・北朝鮮のミサイル騒動の際、政府高官は「ミサイルが飛んで来ても迎撃できないし、口を開けてみているしかない」と言ったが、その『迎撃できない』PAC3というシステムに5年間で8000億円も使っている。

・国と地方自治体を合わせれば、日本の借金は軽く1000兆円を超える。まだギリギリ国民の貯蓄額を超えていない(2010年の時点で貯蓄額1079兆円)からなんとかなってるけど、これが貯蓄額を上回るようになったら、日本はギリシャのように経済破綻する。

・元官房長官の野中広務は、政権維持に影響力があると思われる評論家などに、つかみ金を届けた、という爆弾発言をする。政府にとってメディアは、国の広報機関みたいなもので、メディアもそれに甘んじている。

・のりピーと押尾学の事件の報道のされ方の差を考える。欧米諸国の常識からすれば、どう考えても微罪でしかないのりピーはとんでもなく報道され、どう考えても重大事件だろうと思われる押尾学の事件は途中から蓋をされてしまう。メディアは、国から「叩いていいよ」とお墨付きを与えられた対象だけを叩きのめすようにできている。

・核兵器を搭載したアメリカの艦船の日本への寄港を容認する、という日米間の密約に関する政府の呆れた対応

・任意での職務質問の『任意』というのは、一体誰にとっての『任意』なのか。もしかしてそれは、警官にとっての『任意』なのではないか。今の日本では、そうとしか思えない状況が多々存在する。

・北方領土には様々な議論があるが、北方領土を先住民族に返還し、アイヌモシリに主権国をつくろうという視点を何故誰も持たないのか?

・日本の自殺者数は、1998年に三万人を超えて以降ほとんど変動はないのだけど、このデータはおかしくないだろうか?

福島第一原発での『人災』について、政府・東電・マスコミが何をして、その結果どうなってしまったのか、という検証

というようなことが書かれています。

感想

なるほど、少なくとも僕はこれに類する情報を見たり聞いたりしたことはなかったし、今個人レベルで出来る最大の対抗策だったりするのかもしれない、と思いました。
僕は本書を読んで、国は貧しくてもいいから、もう少しマトモな国であって欲しい、と思ってしまいました。なんというかホント、誇りの持てない国になっちゃったなぁ、日本。
とにかく本書は、書かれている具体的事柄もそれぞれ非常に刺激的で面白いのだけど、それ以上に、『自分で情報を集め、自分の頭で考えろ!』ということを強く強く訴え掛けてくれる作品です。僕らはもっと、正しい情報を手に入れる手段を模索しなくてはいけないし、的確な判断が出来る訓練をしなくてはいけない。もちろん僕もだ。僕にはもはや極限近くまで狂ってしまっているように見える日本において、本書を読むことは一つの武器を手に入れることに近いかもしれません。もっと自分で情報を集め、自分の頭で考えましょう!

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