癌闘病の末、永眠。「病気を言い訳にしたくない」著者は病気に負けなかったのではないか?

2181views飛立知希飛立知希

このエントリーをはてなブックマークに追加
明日もまた生きていこう 十八歳でがん宣告を受けた私

 18歳でがんを発症した高校生・横山友美佳。
 彼女は、現在日本女子バレーボール界を牽引する木村沙織選手と同じく、将来を期待され、北京オリンピックへの出場を夢見た、十分に夢を実現させられる力を持った選手だった。中学時代からオリンピック有望選手に選ばれるなど全国区で活躍。韓国遠征、ベトナム遠征などを重ね、中学生にして選手生活と学生生活を両立させる。下北沢成徳高等学校入学後は、1年時に春の高校バレーで準優勝。2年時に全日本シニア登録選手としてワールドグランプリに出場するなど、バレーボールに打ち込み輝かしい青春時代。その真っ只中にがん宣告を受け、「一緒に乗り越えよう」と誓った恋人との別れで絶望するも、負けず嫌いの性格から相手を憎むことで逆に闘病への力へと変える。一年間病院で強い抗がん剤投与などを続け、ほとんど起き上がれない日々がある中、早稲田大学受験合格の夢を実現させる。
 「病気を言い訳にしたくない。不利な状況でも早稲田に合格する姿を見せたい。そんないくつもの欲があるなら健康な人と比べてはいけない。理不尽と思ってはいけない。高い理想があるなら、病気に勝つことと合格を同時に手に入れたいなら、中途半端な闘志になってはいけない。」
と、赤ペンで真っ赤になるくらい修正を入れられても、即座に修正することを繰り返し三ヶ月という短期間で一日も休むことなく特訓した小論文をものにする。
 「一瞬の弱さで後悔したくなかった」と病気の自分に一切の妥協を許さなかった。
 一度は病気を克服するもすぐに再発。合格した大学も自主退学し、再び絶望が彼女を襲う。しかし横山友美佳はあきらめなかった。再び体に負荷の重い強い抗がん剤の治療を受け、高額な中国の漢方薬治療ももとめて旅行、アルバイトなど新しい経験を重ね、夢を常にみてきた。最後の夢“私の本をだしたい”その思いから何度も推敲を繰り返して書き綴った手記を刊行。発売を待たず21歳で永眠した。
「なにかを失ったからって悲しんで泣くよりは 今自分に残っているものを大事にしよう」
 横山友美佳は病気に負けなかったのではないだろうか。
 見舞い患者に平然と笑顔を見せられる精神力の強さ、絶望しても目標をすぐに見つけ、夢を実現させるために注いだ集中力や努力、天賦の才は彼女自身の病気に勝った証だ。
 本書を手に取ったすべての人に命の現場から、喪失からみえてくる生きることの価値、現実を受け入れるという強さ、優しさを訴える声を聞いてほしい。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く