障害役者!「障害者」「健常者」の壁を越えて「俺は贔屓してみるつもりはない」

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障害役者 ~ 走れなくても、セリフを忘れても ~

「テニスの王子様」ミュージカル(以下略「テニミュ」)で主役として2003年にデビューした、俳優 柳浩太郎さんの闘病記。
 「テニミュ」の再公演が決まり、舞台稽古をした帰りに交通事故に遭う。それが原因で著者は「高次脳機能障害」と診断され、障害者になってしまう。
 しかし著者は毎日苦しいリハビリに励み続けた。「なぜ自分が障害者に?」という原因追及よりも「テニミュに復帰する」という希望のほうが大きかったのだ。
 

 「『柳はかわいそうだから』と同情されるのではなく、『柳はこれはできないけど、こういうことはできる』といったように、できないことではなくて、できることのほうを見てほしかった。」

 著者は歩くのもバランスをうまく取れず、セリフもカンペなしでは覚えられない。
 それでも事務所は契約を破棄したりせず、プロデューサーも「今の柳を支えているのはテニミュだからそれを奪いたくない」と復帰させる方向で動いていた。

 決死のリハビリでダブルキャストという奇策を使って冬講演に復帰することが決まる。
 一つの公演の中で2人の主役が入れ替わる。歌とダンスは基本的には著者の事務所の先輩が務め、目立つところで著者がセリフをいうというもの。
 その先輩は引っ張るところは遠慮なく思い切り引っ張り、気を遣う様子を著者に見せなかった。
 だがある日、著者の甘えが出た。

 「俺体が動かないから」とか「セリフが覚えられないから」
 (その時いつも穏やかな彼の態度が急に変わったことがあった。)
 「俺は柳のことをそんなに贔屓してみるつもりもないし、今まで通りフラットに接していくつもりだから、反対にそういうのは許さない」
 

 その言葉に著者は彼だけは僕をライバルとしてちゃんと対等に見てくれている。と仕事復帰の光を見た。
 障害者とか健常者とか、そうした壁に悩み、夢をあきらめかけた人も「いや待てよ」と激励される作品だ。

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