今だから振り返る 混合診療の即時解禁を求めるアメリカ資本主導の医療行政内政干渉

1076views飛立知希飛立知希

このエントリーをはてなブックマークに追加
医療構造改革と地域医療―後期高齢者医療と財政問題から日本の医療を考える

 本書は世紀の悪制、後期高齢者医療制度の狙いと背景を財政面から鋭く分析し、現代の医療政策に警鐘を鳴らす良書である。
 連続的な診療報酬の低下を主因とする病院の経営困難によって1997年から国民の健保負担が重くなった。同時に卒後研修医養成制度によって、地方に根付く中核病院から首都圏の大学病院に根こそぎ人材を集中化させることで医師不足が深刻化した。それらを背景として医療費抑制政策が橋本政権時代から小泉、安部政権まで連綿と続き、1981年の第二次臨時行政調査会設置によって帰結する。
 2006年6月に成立した医療制度改革法は公的医療保険給付費をGDPの枠内に抑制することを目的としたものだった。
 1993年日米包括経済協議に始まり、小泉政権時の日米投資イニシアティブなどの一連の流れからアメリカの金融収支が潤うようにごり押ししてくる内政干渉の思うがままになっていた日本。
 それによって厚生労働省は2025年までに医療給付費を8兆円削減することを推計した。日本の医療費はOECDの先進10カ国の平均値にも達していない。
 その象徴として登場した後期高齢者医療制度は75歳以上の高齢者に別立ての独立保険に強制的に組み入れ、年金受給額1万5000円を超える人は強制的に天引きされ、その数は200万人を超えるという。
 1982年から窓口負担、健保負担を段階的に引き上げられてきた高齢者だが、後期高齢者医療制度によって、75歳以上が払っているのだから、今度は若年者も支払えといたちごっこになりかねない危険性を孕んでいると筆者は主張する。
 各政権の選挙戦の医療政策からみた狙いも指摘されており、分かりやすく、読み応えあるテキストに最適の書。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く