左京区七夕通東入ル(瀧羽麻子)の書評・感想

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左京区七夕通東入ル (小学館文庫)

舞台は、タイトルからも想像できるように、京都。
京都の大学の文学部に通う花は、ファッションに強く興味を持ち、他にも興味の関心があちこちに移ろう、まあどこにでもいる大学生。学部によってキャンパスが分かれている大学は、文学部と理学部では相当にかけ離れているのだけど、近くの女子大に通うアリサが、理学部に通う男子と付き合っていて理学部に入り浸っているので、花も大分毛色の違う理学部のキャンパスにはそれなりに馴染みがあった。
それは、ブルーベリーがもたらしてくれた奇跡だった。
なんていうと大袈裟だけど、ブルーベリーのお陰でその日、気合を入れた服を着ることになったのだし、だからアリサにあの合コンに声を掛けてもらえたのだった。
そこで、たっくんに出会った。
たっくんは、同じ大学の数学科、つまり理学部に所属していた。明らかに合コンにはヤル気がなさそうで、でもどうしてなのか花はたっくんに惹かれてしまっていた。
でも、たっくんとの距離感は、なかなかに難しい。
たっくんと同じ寮に住んでいる、ヤマネとアンドウとも仲良くなって、四人で飲んだり花火をしたりするようになった。でも、たっくんとの距離は、簡単には縮まらない。数学にのめり込んでしまうみたいだし、やっぱり人とちょっと感覚が違うみたいだし。
でも、花は諦めない。それまでの恋とは、全然違うような気がするのだ。たっくんとの出会いは、本物な気がする。花は、たっくん以外の日常とももちろんそれまでのようにちゃんと付き合いながらも、気長にたっくんとの関係を詰めていこうと決める。
花はもう四回生。就職も決まり、しばらくしたら京都を離れてしまう。そんな、最後の大学生活を描く作品です。
なかなか面白い作品でした。帯には、「「ダ・カーポ最高の本2010」女子読み恋愛小説第1位」って書いてあって、まあ本書は普通は恋愛小説として読まれるんだろうけど、やっぱり僕としては、理系の人たちの日常、みたいなものが気になってしまいました。
とはいえ、本書では、別に難しい数学の話とか、ついていけない研究の様子なんかが描かれるわけじゃありません。ただ、日常の中にいても、やっぱり理系の学生と文系の学生では、やっぱり色々と違う。その色々と違う部分が、僕は気になったし、楽しいなぁと思いました。
解説で、著者のインタビューをしたことがあるというライターの方が、「理系男子は周りにたくさんいた(著者自身は文系だけど)」というようなコメントを載せています。僕は理系でしたけど、教養課程で大学を中退してるんで、正直、理系らしい感じみたいなのってあんまり実感がないんですよね。大学時代に入ってたサークルにも、理系の人間ってそこまで多くなかったし、僕は逆に、大学時代理系の学部にいたのに、理系っぽい人が周りにあんまりいない環境だったなぁ、という気もします。だから、余計に気になるのかもしれません。

感想

京都っていう雰囲気も、学生小説にはなんか凄く合うし(これは、森見登美彦が好きだからそう感じるのかなぁ)、京都にそんなに詳しくないけど、なんとなく作品全体から「京都っぽさ」みたいなものが伝わってきて、やっぱ京都っていいなぁ、と思います。
もちろん花の恋愛の話がメインになってくるんだけど、決してそれだけではなくて、京都という街に生きる学生たちのウダウダした青春物語という感じの作品です。読んでみてください。

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