マツリカマジョルカ(相沢沙呼)の書評・感想

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マツリカマジョルカ

本書は、とある高校に通う、クラスに溶け込めず、友達もいなく、冴えない学園生活をやりすごしている高校一年生の柴山祐希が、学校近くにある廃墟に住む、柴山と同じ高校の制服を来ている謎めいた女子高生のマツリカさんと出会うことで始まる四つの物語。マツリカさんは常に廃墟から高校を望遠鏡で観察しているクールな女子高生で、柴山のことを「柴犬」と呼んでパシリ扱いしている。柴山はといえば、マツリカさんが放つ無防備な色気にやられて、そもそも自分の意見を主張するようなタイプでもないわけで、パシリ的な扱いに甘んじている。とはいえ柴山としては、学校で誰とも話すことなく過ごす日々の中で、マツリカさんと過ごす日々は、倒錯的な甘さに満ちていて、柴山の日常を充実させてくれてもいる。
とはいえ、マツリカさんが繰り出す要求は、本当に奇っ怪なものばかりで…。

「原始人ランナウェイ」
同じ高校の卒業生である実習生がやってきている期間、柴山は廃墟から落ちそうになっている女子高生を見かけ、慌てて助けに行く。それが、柴山とマツリカさんの出会いだった。マツリカさんは謎めいた言動で柴山を翻弄するが、その最たるものが「原始人探し」だ。マツリカさんは今、高校内に現れるという原始人を探しているらしく、柴山にもその手伝いをするように強要するのだが…。

「幽鬼的テレスコープ」
ほとんどのクラスメートの名前と顔が一致しない柴山にとって、小西さんとはそれなりに話せる。写真が大好きな小西さんと話していると突然、高校の裏側にある小さい山を舞台に行われる肝試しに誘われた。なんでもドタキャンをした男が一人いるらしい。くじ引きで偶然小西さんと一緒のペアになった柴山は、様々な仕掛けが施された道を進みながらゴールすると、幽霊が出たらしいという噂が広まっていることに気づき…。

「いたずらディスガイズ」
柴山にとって文化祭というのはほとんど関わりあいのないイベントなのだけど、今回は違った。まずマツリカさんからミッションが授けられてしまった。それが、ゴキブリ男の捜索。何でも最近高校に出没するというのだ。マツリカの指示に従い、自分のクラス(メイド喫茶をやっている)でゴキブリ男の出現を待つつもりでいると、小西さんらから別の頼みが舞い込む。それが、隣のD組でやるつもりだった「不思議の国のアリス」の演劇のアリスの衣装がなくなったから探して欲しい、というものだった。勇気を振り絞って色んな人に話を聞く柴山だが…。

「さよならメランコリア」
この話は、内容を書かないでおこうかな。『卒業』というのが一つのテーマになった話。

著者略歴を見ると、同い年なんですよねぇ。若い作家だからということを考えると、なかなか好く出来ているかな、という感じがします。作品として、凄くいい、という感じではないんだけど、これからに期待できるという意味で楽しみだし、同世代だという意味で自分と感覚も結構合う部分があるから、なかなか面白く読めました。
本書は、いわゆる<日常の謎>系のミステリで、学園モノだってことを考えると、米澤穂信の<古典部>シリーズなんかに結構近いイメージをしてくれればいいんじゃないかな、と思います。主人公の設定や色んな状況設定は大分違うんだけど、ミステリのスケールとか雰囲気みたいなものが、結構近いかなっていう感じがします。柴山とマツリカさんの小競り合い(?)を受け入れられるかどうか、みたいな部分はあるんだけど、基本的には米澤穂信の学園モノのミステリが好きなら、結構合うんじゃないかな、と思います。

感想

なかなか変わったタイプの学園ミステリで、柴山とマツリカさんとの絡みをどう受け止めるかによって読み方や好みが変わるだろうと思うけど、なかなか面白い新人が出てきたなという感じがします。僕は結構、マツリカさんみたいな無防備な人(身体的な意味だけではなくて、考え方なんかも)は、結構好きだったりします。読んでみてください。

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